NEDO AIベンチャー企業の研究テーマを採択

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2018年8月28日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、AIの社会実装を進めることを目的に、優れたAIベンチャー企業の研究テーマ6件を採択したと発表した。

 全国から応募のあった30件の研究テーマの中から、書面による一次審査と、プレゼンとデモンストレーションによるコンテスト方式の二次審査を行い、2件の共同研究を含む6件(7社1大学)の研究テーマを選定した。今後、各者はマテリアルズ・インフォマティクス、ロボット、細胞診断といった、AIを活用した各々の研究テーマの完成・実現に向け、二年間を上限とした研究開発に取り掛かる。

 同事業は政府の「人工知能技術戦略」を踏まえたもの。NEDOは、同戦略の重点3分野「生産性」「健康、医療・介護」「空間の移動」でのAI社会実装を加速し、AIベンチャー企業の市場参入を促進するため、ベンチャー企業が参入しやすい公募事業の実施に取り組んでいる。

 2回目の公募となった今年度は、「生産性分野」から最優秀賞1件と審査委員特別賞3件、「健康、医療・介護分野」から最優秀賞1件と審査員特別賞1件の研究テーマを採択した。

 昨年度の実施では、委託企業が東京圏内に偏るという課題が浮かび上がってきた。「日本全体の産業力向上を考えると、全国さまざまなところからベンチャーが立ち上がってほしい」(NEDOロボット・AI部の渡邊恒文プロジェクトマネージャー)との思いから、今年度は仙台、名古屋、大阪、福岡の地方都市でも応募促進イベントを開催。今回は東京圏内に加え、愛知県と島根県のベンチャー企業も選ばれることとなった。

 NEDOは同支援事業以外にも多くのベンチャー委託事業を手掛ける。渡邊プロジェクトマネージャーによると、地方都市としては福岡市でのベンチャー企業がかなり活性化している印象があり、また大学周辺でいえば、金沢工業大学や奈良先端科学技術大学院大学を中心とする地域で、ベンチャー企業の動きが盛んだという。

 今年度の研究テーマが採択された企業は、「DeepX」(東京都)、「PuRECおよび名古屋大学」(島根県・愛知県)、「MICIN」(東京都)、「IDECファクトリーソリューションズおよびRapyuta Robotics」(愛知県・東京都)、「MI‐6」(東京都)、「ロックガレッジ」(茨城県)の7社1大学。

 2年間の研究開発の後、各者の成果を踏まえた上で、NEDOはベンチャー企業間のマッチング、さらには他業種企業とのマッチングまで支援していく。