中外製薬 がんゲノム医療に関するメディアセミナー開催

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2018年10月2日

 中外製薬はこのほど、「次世代シーケンサーによるがん遺伝子パネル検査」と題しメディアセミナーを開催した。

 同社は今年3月、ロシュ・グループの米ファウンデーション・メディシン(FMI)社の固形がんに関連する網羅的遺伝子解析プロファイリング情報を提供する「FoundationOne CDx」(海外製品名)について、日本で製造販売承認申請を行い、国内事業展開を開始。今回、「FMI事業を通じた個別医療への貢献」をテーマに説明を行った。

 次世代シークエンサー(NGS)技術の革新により、がんゲノム医療の標準化が進むことで、プレシジョンメディシンはPHC 1.0(パーソナライズドヘルスケア=個人化医療)からPHC2.0(精緻医療、個別医療)に移行しつつある。

 分子標的治療に合わせたコンパニオン診断薬から、患者のがん遺伝子プロファイルに合わせた治療提案へと変わっていく中、様々ながん腫に対し、網羅的遺伝子プロファイリングができれば、遺伝子変異に応じた治療が可能となる。

 FMI社のFoundationOne CDxは、固形腫瘍を対象として米国のFDA(食品医薬品局)に初めて認証された網羅的遺伝子解析パネル。324のがん関連遺伝子の一括検出により、コンパニオン診断薬機能と遺伝子プロファイリングが可能となっている。

 中外製薬は、このサブスクリプションビジネスによる精度・質の高い「情報サービス」の提供を行うことで、患者の適切な治療へのアクセス向上、遺伝子情報に基づく医薬品開発の加速を目指す。そしてFIC(ファースト・イン・クラス)・BIC(ベスト・イン・クラス)創薬による治療機会最大化、医薬品事業とのシナジーを図っていく。

 NGSパネル検査は自由診療となるため高額の費用が掛かっているが、同社の薬事承認・保険償還が認められれば、患者負担が軽減される見込みだ。今後については、希少フラクションに対応するため臨床情報・ゲノム情報の臨床ゲノム情報データベースを構築するとともに、薬事申請に足る品質向上を図る必要がある。

 また新しいビジネス価値の創出のため、多くのデータが必要なことから、さまざまな企業との連携も課題に挙げた。