積水化成品 EV視野に遮熱タイプの微粒子ポリマー開発

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2018年10月10日

 積水化成品工業は9日、「テクポリマーHM」シリーズの「遮熱タイプ」を開発したと発表した。

 「テクポリマー」は、同社独自の重合技術を用いた微粒子ポリマーで、液晶ディスプレイや照明カバーの光拡散材、塗料・インキの艶消し材など、様々な用途に採用されている。

 節電や省エネ意識が高まる中、遮熱や断熱効果が得られ温度制御に寄与する材料が幅広い分野で求められている。同社はこのような状況に対応するため、同シリーズの遮熱タイプを開発した。

 遮熱タイプを配合した塗膜の特長は①日射を遮るので高い遮熱性を示すこと②可視光から近赤外領域の光反射性に優れること。

 遮熱性能の評価では、透明塗料に同社従来品アクリル微粒子、もしくは新規開発品を加えた場合を比較するため、アクリル板の塗工面(初期温度20℃)を5センチ離した白熱電球で加熱し、光照射に伴う温度変化を測定。60分間の加熱でアクリル板の温度が、従来品は42℃まで上昇したのに対し、新規開発品では33℃の温度上昇に抑えられた。

 また光反射性能の評価では、黒色基材に塗工した塗膜の光反射率を分光光度計で測定。従来品では可視光~近赤外光の反射率が10%以下なのに対し、新規開発品では可視光領域が70%以上、近赤外光領域でも40超~70%前後の反射率を示し、可視光から近赤外光を効果的に反射した。

 同製品の販売目標は、2019年度が3000万円、22年度には5億円を計画。同社は新規開発の「遮熱タイプ」を、従来の塗料用途にとどまらず、車内の温度制御に関する取り組みを積極的に進めているEV(電気自動車)部材への展開を図っていく考えだ。