信越化学 2工場でフォトマスクブランクス設備を増強

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2018年10月12日

 信越化学工業は11日、フォトマスクブランクス事業の拡大を目指し、約140億円の設備投資を実施すると発表した。武生工場(福井県越前市)と直江津工場(新潟県上越市)のそれぞれ既存工場で行う。

 武生工場では新たな工場棟と先端ArF品を生産する設備を増強し、2021年4月までの工事完了を目指す。直江津工場では事業の中核である汎用ArF品の生産設備を、来年末までの完了を目指し増強する。この投資により、同社のフォトマスクブランクスの生産能力は現在の3割増となる。

 フォトマスクブランクスは、半導体の製造工程で使われるフォトマスクの材料となる。フォトマスクはシリコンウエハーの上に回路を描画する際、回路の原版として使われる。

 同社はこれまでも、半導体の製造工程で使われる材料の研究開発に注力してきた。フォトマスクブランクスはその1つで、09年に事業化し、直江津工場で生産を開始。16年には武生工場でも生産を始め、顧客への供給責任を果たすとともに、2つの事業拠点をもつことでリスクの分散を図っている。

 事業化を果たした後も、同社は顧客の要望を満たす最先端の開発を進めた結果、高精度の微細加工が行えるフォトマスクブランクスの開発に成功。この最先端のフォトマスクブランクスが、世界の標準品として認められている。

 半導体デバイスの生産量の増加と微細化の進展により、フォトマスクブランクスの世界需要は、汎用ArF・先端ArFともに増加している。同社はこれらの需要を着実に取り込み、事業をさらに大きく伸ばしていく方針だ。