JSR 蘭社とオルガノイド技術でパートナーシップ契約

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2019年3月29日

 JSRはこのほど、オランダのヒューブレヒト・オルガノイド・テクノロジー(HUB社)と、戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。契約内容は、HUB社が保有するオルガノイド関連技術を、オンコロジー(腫瘍学)領域において、前臨床スクリーニングサービスに独占的に活用するライセンスに加えて、HUB社保有のバイオバンクを利用する権利や共同開発などを含んでいる。

 同社は、子会社であるクラウン・バイオサイエンス(クラウン社)を通じ、HUB社からライセンスを得たオルガノイド技術、および非常に特徴的な腫瘍オルガノイドバイオバンクを、オンコロジー領域での前臨床スクリーニングサービスに独占的に活用していく。また、クラウン社は、オランダのユトレヒトに新たな運営拠点を設立し、オルガノイド技術のさらなる進化を加速するため、HUB社と共同開発を進めていく。

 HUB社のオルガノイドは、ユトレヒトにあるヒューブレヒト研究所のハンス・クレバース教授が開発した成体幹細胞由来のオルガノイドで、高度に標準化された培養技術によって生成される。患者の体内にある腫瘍の特徴を忠実に反映しているほか、病理学やゲノミクスなど、よく知られた指標によって特徴が把握されているため、創薬開発の効率化が期待されている。

 また、クラウン社は、PDX(Patient‐Derived Xenografts)モデルで、世界をリードしてきたが、HUB社のオルガノイド技術を得ることでPDXとオルガノイドを融合した体外スクリーニングサービスを確立し、より包括的な創薬関連サービスやトランスレーショナルリサーチサービスを提供していく。患者由来のオルガノイド(PDO)やPDX由来のオルガノイド(PDXO)による体外スクリーニングモデルは、その後段の体内スクリーニングモデルとも調和のとれたモデルとなる。

 JSRグループは、今後も新たな治療の開発プロセス全体にわたって、革新的かつ世界中の人々の健康にとって価値のある製品やサービス、技術を提供し、ライフサイエンス事業の拡大を進めていく考えだ。