昭和電工 AIを用いた特許読解支援システムを構築

, ,

2019年4月11日

 昭和電工は10日、日本IBMと共同で、特許情報の効果的かつ効率的なスクリーニングを支援する「特許読解支援システム」を構築し、7月から昭和電工全社で運用を開始すると発表した。同システムの運用により、技術者の特許読解時間の大幅な削減を目指す。

 今回構築した「特許読解支援システム」は、文書情報を統合的・横断的に収集し、高度な分類・分析が可能なコグニティブ・テクノロジー「IBM Watson Explorer」を採用。同ツールが有するテキスト解析・探索機能、文書関連付け機能、特許に特化したアイデア抽出機能を利用することで、効率的な特許情報の読解を支援する。

 さらに昭和電工の技術領域である化学分野の特許文書の特徴に合わせた文書関連付け機能を付与することで、特許文書の可読性向上に特化したインターフェースを備えたシステムを構築した。同システムでは、難解かつ長大な文章で複雑な依存関係を持つ特許の請求項情報が構造化され、視覚的に示されるため、技術者は効率よく特許の内容を理解できる。

 昨年、昭和電工社内で実施したトライアルでは、同システムを使わずに読解した時に比べ、特許1件当たりの読解時間を約45%短縮できた。知的財産を企業競争力として最大限活用するには、創出された知的財産を権利化するだけではなく、テーマ探索から事業化までのすべての段階で、知的財産の状況を正しく把握することが重要。同システムを全社に導入し、研究効率の向上と他社権利侵害リスクの低減に繋げるとともに、知的財産業務をより戦略的に推進し、企業競争力強化に取り組む。

 昭和電工は今年度より開始した中期経営計画「The TOP 2021」の中で、グループ戦略を支える事業基盤の強化施策の1つとして、「AI/IoT活用の強化」を掲げている。これまでに培ったノウハウやプロセスの可視化・形式知化により開発を加速させ、企業価値向上に生かしていく考えだ。