宇部興産の3月期 合成ゴム市況下落や定修などで減益

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2019年5月15日

 宇部興産は14日、2018年度(2019年3月期)の連結業績を発表した。売上高は前年比5%増の7302億円、営業利益11%減の446億円、経常利益6%減の479億円、純利益3%増の325億円となった。売上高と純利益は過去最高を更新した。

 決算会見において藤井正幸執行役員は、「売上高は原燃料価格上昇に応じた販売価格是正などにより増収、営業利益は石炭価格上昇やアンモニア工場の定修要因、合成ゴム市況軟化などにより減益となった」と総括した。

 セグメント別では、化学は売上高3%増の3149億円、営業利益18%減の237億円。ラクタム事業は、中国市場を中心に販売価格が是正された。ナイロン事業は、スペインで生産能力増強を行い販売数量が増加した。工業薬品事業はアンモニア工場の定修や生産トラブルの影響で生産・販売が減少した。合成ゴム事業は、販売数量は増加したが上期においてスプレッドが縮小した。

 電池材料事業は、車載向けを中心とした需要拡大を背景にセパレータの生産能力増強により販売が増加したが、中国における電解液事業再編の影響を受けた。ポリイミド事業は、回路基板向けを中心にフィルムの販売数量が堅調に推移し、有機ELパネル向けワニスの販売数量が増加した。

 医薬は売上高1%減の101億円、営業利益59%減の8億円。受託医薬品の販売数量が増加したが、ロイヤリティ収入が減少した。

 建設資材は売上高5%増の2502億円、営業利益4%減の118億円。機械は売上高8%増の972億円、営業利益2%減の54億円。

 エネルギー・環境は売上高6%増の758億円、営業利益9%増の25億円。

 2019年度の通期連結業績については、売上高4%増の7600億円、営業利益6%増の470億円を想定している。藤井執行役員は、「販売数量の増加や買収した会社の寄与、また定修要因がなくなることなどで増収増益となる。カプロラクタムは四Q(1―3月期)並みの1100ドルを想定している」との見通しを示した。