日化協 淡輪会長「循環経済には廃プラ有効利用がカギ」

2019年5月17日

 日本化学工業協会は14日、定例の会長会見を開催した。

 淡輪敏会長(三井化学社長)は4Q(1-3月期)の景況感について、「化学産業の2月の出荷は大幅な下げとなった。ただし11カ月連続で前年同月を上回っており、失速感はあるものの堅調さを維持している。一方で、総合化学7社の4Qの業績見込みによれば、これまで利益をけん引してきた汎用化学は、原料価格上昇により増収を見込むが減益となる。特殊化学も同様に増収減益となり、難しい経営環境となっている。原料価格や為替の動向に引き続き注視が必要だ」との見方を示した。

 続いて、日化協の主要活動を報告。初めに、日化賞3賞(安全表彰、技術賞、RC賞)の受賞者決定について紹介。淡輪会長は「表彰活動を通じて、優れた成果を検証し奨励することで、各分野の取り組みの高度化、イノベーションの創出を促進していく」考えだ。

 続いて、日化協が共同事務局を務める海洋プラスチック問題対応協議会(JaIME)が、プラスチック循環利用協会を通じて進めてきた「エネルギーリカバリー(ER)の環境負荷評価」を説明。

 淡輪会長は、「循環経済の確立には、廃プラスチックを有効利用することにより、環境負荷を低減させていくことが重要なカギだ。マテリアルリサイクル(MR)、ケミカルリサイクル(CR)、ERの手法があるが、それぞれが環境に与える負荷のレベルを比較するといった観点から科学的に客観評価を行い、位置付けを適切かつ明確にすることが必要だ」と評価の目的を語った。

 今回の評価は容器包装プラスチックとして回収されたプラゴミについて、それぞれの手法で有効利用した場合の環境負荷低減効果を一定の条件下で比較。ERによる環境負荷低減効果は、発電効率が高ければ、MRによる効果と比べても劣らないことが分かった。

 評価結果について淡輪会長は、「今月26日から29日にハンガリーで開催される国際学会で発表する予定だ。比較評価の考え方や手法について、国際的に認識されるよう着実に発信していきたい」意向だ。