積水樹脂 3つの社会的課題への対策軸に展開

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2019年7月5日

 積水樹脂は今年度、「防災・減災」「歩行者安全」「暑さ」の3つの社会的課題への対策を軸に、事業展開を図っている。

 防災・減災対策では、万年塀・ブロック塀の改修として、目隠し塀や防音目隠し塀を提案する。これらの製品はブロック塀より軽量であるため、地震時の倒壊リスクを大きく軽減する。

 昨年末に閣議決定された「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策事業」では、市街地にあるブロック塀などの安全性を確保するため、全ての特定行政庁は2020年までに安全対策を完了するとされている。

 同社によると、学校施設などで約1000㎞、社会福祉施設では7025施設、自衛隊施設では約110施設が安全対策の対象になっている。同社ではこうした施設に目隠し塀と防音目隠し塀を提案することで、防災・減災に貢献していく。

 歩行者安全対策については、大きな交通事故が相次いでいることから、交差点の場所別に最適な安全対策製品を提案する。歩道と車道の境に車両用防護柵・車止め、車道の右折レーンには誘導対策として路面標示材・車線分離標の設置を勧める。また、ドライバーに対して注意を促す、LED電光表示板の普及も図る。

 暑さ対策に関しては、猛暑・酷暑に対し、「総合力」を生かして快適な環境を提案する。大型スポーツ施設では、人工芝グラウンドの温度を抑制する「Viuシステム」の販促を進める。

 これは長谷川体育施設・テクノコアと共同開発したもので、特殊樹脂製ノズルにより、わずかな水を微雨化して立体的に散水。日射で熱くなったフィールド表面に微雨が確実に届き、温度を効果的に下げることで、安全・安心・快適なプレイフィールドを実現する。

 公共施設では、クールスポット施設、LED電光表示板による猛暑注意喚起システム、遮熱性舗装などを紹介する。このうちクールスポット施設は、積水樹脂が強みをもつシェルター技術と、パナソニックが強みとする屋外にクールスポットを形成する技術をもとに共同開発した。より高い冷却・暑熱対策効果を発揮するシステムで、夏季の屋外でも快適に過ごせる空間を提供する。

 福井彌一郎会長兼CEOは防災・減災や歩行者安全対策について「事故などの発生から時間が経つと、関心が薄れてしまうのは大きな問題。継続性が必要」と述べている。