三菱ガス化学 「特殊PC・リサイクルプロジェクト」始動

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2019年7月12日

 三菱ガス化学はこのほど、特殊ポリカーボネート樹脂「ユピゼータ EP」の新プラントが9日完工したのにあわせ、プラスチックの廃棄物削減に向けた「特殊ポリカーボネート・リサイクルプロジェクト」を始動すると発表した。最終製品の製造工程で発生する廃棄物をゼロにすることを目指す。

 同社の特殊ポリカーボネート「ユピゼータ EP」は、スマートフォンやタブレットなどに搭載される高機能小型カメラレンズ材料。高屈折率と低複屈折を両立させるとともに、成形性も兼ね備えた光学材料であり、特にスマートフォンで、その薄型化に大きく寄与する欠かせない材料となっている。

 最終製品となるカメラレンズは同製品を射出成形することにより製造されるが、必要となる部品以外のスプルーやランナーといわれる部分は製品として使用されず、廃棄されてしまう。

 昨今、廃プラスチックの問題については世界的に注目を集めているが、同社でも廃棄物の削減について従来から検討を進めてきた。

 今回、リサイクル技術の開発に目途が立ったことから、「特殊ポリカーボネート・リサイクルプロジェクト」として、スプルー・ランナー部分を回収・リサイクルし、製造工程で発生していた廃棄物をゼロにする活動を進める。

 なお、9日に完工した、鹿島工場の「ユピゼータ EP」新プラントは、10月から商業運転を開始する予定。これにより同製品の総生産能力は従来の年産3000tから同5000t以上となる。スマートフォンなどの小型レンズ需要については今後さらなる伸びが予想されており、技術開発を進めて顧客のニーズに応えていく。

 三菱ガス化学は「環境負荷の削減と持続可能な社会発展への貢献」を「環境・安全方針」の基本方針の1つに掲げており、今後も環境負荷の削減に向けて様々な取り組みを行っていく考えだ。