クラレなど ウェアラブル電子制御冷暖房ジャケットを開発

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2019年9月3日

 クラレはWINヒューマン・レコーダーと、電子制御冷暖房装置を搭載したジャケットを開発した。建物や自動車などの空間全体ではなく、体だけを効率的に冷やしたり暖めたりすることができる。

 従来の冷暖房システムに比べエネルギー効率が向上し、消費エネルギーを削減できるため、地球温暖化問題にも貢献する。富士通ゼネラルとWIN社が販売する予定で、2020年夏からの試験販売を目指す。

 このウェアラブル電子制御冷暖房ジャケットは、環境温度に対し、-5~-15℃程度の冷却機能をもつ。 可動時間は約2~4時間。ジャケットの表層には「クラリーノ」、裏地にはダブルラッセルを使用している。

 Tシャツの上からの着用を想定しており、適度なクッション性とストレッチがあるため、幅広いシーンに対応可能だ。並行して、導電性繊維や面ファスナー「マジックテープ」に導電性を付与したジャケットの設計にも取り組んでいく予定。スポーツや極暑対策、老人介護、屋外作業、救助隊作業などの用途を想定している。

 地球全域の温暖化問題の対策には、建物や自動車全体を冷却する従来の空調システムに加え、体だけを選択的に冷却するシステムが有効で、快適性と省エネの両面から、今後このようなシステムの普及が予想される。

 今回開発したウェアラブル電子制御冷暖房装置は「局所適合環境を持ち歩く」環境ウェアラブルを実現する、新しい発想の電子機器。人体の血液の流れが集中する頸部を冷暖することによって、体温を適切にコントロールすることができる。

 制御デバイスはペルチェ素子(冷暖機能をもつ半導体)と、腰または背中に装着するラジエータ部、バッテリー部、コントローラー部から構成される。頸部表面温度を適温範囲で設定でき、過冷却と低温熱傷を防止する。