京大・産総研 合成ダイヤを使い量子センサーで世界最高感度 

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2019年10月8日

 京都大学と産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、人工的に合成したリンドープn型ダイヤモンドを使い、NV中心(窒素―空孔中心)の室温での世界最長電子スピンコヒーレンス時間(T2)と、単一NV中心を用いた量子センサーの世界最高の磁場感度実現に成功したと発表した。

 京大化学研究所の水落憲和教授やエンスト・デイヴィッド・ヘルブスレブ特定研究員、産総研の加藤宙光主任研究員らの研究グループによるもの。

 NV中心とは、ダイヤモンドの格子中の炭素の位置に入った窒素と、それに隣接する炭素原子が抜けてできた空孔から成る不純物欠陥。また、T2とはスピンの量子的な重ね合わせ状態が、e分の1の大きさ(eは自然対数の底)になるまでの時間のこと。

 今回の成果により、n型半導体特性を生かした量子デバイスへの幅広い応用に道を開くことが期待される。高品質のダイヤモンドが人工的に合成できるようになり、これを使ったこれまでにないデバイスの実現が期待されている。

 中でも注目されるのがNV中心である。NV中心は室温でも長いT2を持ち、超高感度量子センサや量子情報素子の実現、量子センサの生命科学分野への応用の観点から注目されている。

 量子センサーではT2が長いほど感度が良くなり、今回の研究では、産総研で作製した高品質なリンドープn型ダイヤモンド中の単一NV中心のT2が、あるリン濃度で非常に長いことを見出した。

 リンは電子スピンを持つため磁気ノイズ源となり、リンをドープするとT2は短くなると考えるのが常識だが、今回の結果はそれに反するものだった。リン濃度だけを変えた試料での結果からも、一定量以上のリンがドープされた試料で世界最長のT2が測定され、リンドープの効果が確認された。

 n型ダイヤによるT2長時間化は、合成中に生成した空孔欠陥が電荷を帯び、磁気ノイズ源となる複合欠陥の生成が抑制されたためと考えられる。精密なノイズ測定から、今回の試料でのノイズ源は、リン以外の不純物欠陥の電子スピンであることが示唆され、それらを抑制することで、さらなるT2の長時間化も見込まれる。

 なお、この成果は8月28日に英国の国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載された。

 

BASF NPGの生産能力を計21万5000tに拡大 

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2019年10月8日

 BASFはこのほど、ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェンのフェアブント(統合生産拠点)にあるネオペンチルグリコール(NPG)工場の生産能力を年間1万t拡大すると発表した。

 これにより、米国(フリーポート)、中国(南京、吉林)の施設と合わせ、合計21万5000tのNPGの生産能力を保有することになる。同社は現在南京でもNPGの生産能力の拡大を進めており、2020年以降、全世界での生産能力はさらに4万t増加する予定だ。

 同社は、欧州、アジア、北米に生産拠点を有する世界有数のNPG製造会社。NPGはその高い安定性および熱安定性から、多くの用途、特に様々な塗料やプラスチック用ポリエステルやアルキド樹脂の製造において評価されている。粉体塗料は、特に建設産業や、家電製品の塗料において成功を収めている。

 

東洋紡 フィルム製造2社の子会社化を完了、商号も変更へ

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2019年10月8日

 東洋紡は帝人との株式譲渡契約に基づき、帝人が保有する帝人フィルムソリューション(TFS社)とインドネシア帝人フィルムソリューション(インドネシア:ITFS社)両社の株式を、10月1日付で取得し子会社化した。

 両社は共に、ポリエステルフィルム事業を展開してきた。工業用途では、車両の電装化の進展により需要が拡大するセラミックコンデンサ用離型フィルムなどの各種離型フィルム、包装用途では食缶用ラミネーションフィルムと、高品位のフィルム製品を供給。

 PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムでは、主に自動車向けの絶縁フィルム、フレキシブルプリント基板(FPC)用途といった、高機能で特徴のある製品を提供している。

 東洋紡はTFS社のもつ高い開発・生産技術と幅広い製品ラインアップを加えることで、高機能フィルム製品の開発・生産能力を強化し、フィルム事業基盤をさらに強固なものにしていく。また、ITFS社を傘下に置くことで海外生産体制を強化し、フィルム事業のさらなるグローバル化を図っていく。

 同日開催のTFS社とITFS社それぞれの臨時株主総会では、商号変更を決議した。TFS社は同日付で「東洋紡フィルムソリューション」に変更し、ITFS社は今月中旬に「インドネシア東洋紡フィルムソリューション」へと変更される予定。グループ企業であることを対外的に明確化するとともに、グループとしての一体感を醸成していく。

 東洋紡は今年5月22日付で、帝人との「株式の取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結」を開示していた。

 

住友商事 ベトナムでスマートシティ開発目的の合弁会社を設立

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2019年10月8日

 住友商事は7日、ベトナムの大手企業グループであるBRG Group Joint Stock Company(BRG)と、ベトナムハノイ市北部ドン・アイン区の272㏊のエリアにおけるスマートシティ開発を目的とした不動産開発会社を設立したと発表した。

 同開発エリアは、ノイバイ国際空港とハノイ市中心部のほぼ中間地点となるニャッタン橋の北側に位置しており、第1期から第5期までの開発フェーズに分かれている。

 住友商事はBRGと共に、ハノイ市へのマスタープランの一部修正に関する申請・承認手続きを経て、土地収用完了後、住宅を中心とした開発を行う。また、将来ハノイ市都市鉄道2号線がハノイ市街地から開発エリアを通り、ノイバイ国際空港まで敷設される計画があり、同開発エリア内の新駅を中心としたTOD(Transit Oriented Development)型開発も視野に入れていく。

 同開発エリアでは、病院、学校、防災設備、セキュリティシステム、商業施設などに加え、緑・水路・桜並木を整備し、安全かつ安心できる住み心地の良い環境・コミュニティの実現を目指す。また、5G、顔認証、ブロックチェーン技術を導入することによりスマートシティとしてのサービス高度化を図り、ハノイ市の持続的な発展に貢献する。

 住友商事は、昨年スタートした「中期経営計画2020」において「社会インフラ」を成長分野の1つとしており、今後さらに都市開発、スマートシティプロジェクト、インフラ整備事業に注力する。

 今回の開発を通じて、経済成長や人口増加により高まるベトナムの都市需要に応えることで、経済や産業の発展へ貢献するとともに、快適で心躍る暮らしの基盤づくりに取り組んでいく考えだ。

帝人 リンケージに出資、健康支援事業の提携範囲を拡大

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2019年10月8日

 帝人は7日、オンライン健康支援事業などを行うリンケージ(東京都中央区)に出資し、資本・業務提携を行うことで合意したと発表した。これまでの睡眠分野を中心とした業務提携の範囲を、禁煙やフレイルの重症化予防などにも広げることが目的。

 リンケージは2011年の創業以来、健康保険組合や企業、自治体に対して先鋭的な健康増進施策を提供してきた。2013年からはICTを活用した、日本企業の海外駐在員向け健康支援サービスの提供を始めたことを皮切りに、2015年にオンライン特定保健指導サービスを立ち上げた。

 また、2017年には業界に先駆けてオンライン禁煙プログラムの提供を開始するなど、医師・看護師・保健師・薬剤師・管理栄養士などの社内外の医療従事者や、大学・官公庁の協力者とリンケージ(連動)しながら、オンライン健康支援事業のパイオニアとして事業を創造してきた。その結果、現在は80を超える健康保険組合(加入者数合計約370万人)が、オンライン健康支援サービスを利用している。

 一方、帝人グループはデジタルヘルス技術を活用したヘルスケアサービスにより、誰もが住み慣れた地域で、人生の最後まで自分らしい生活を全うする地域包括ケアシステムの普及に貢献することを目指し、すでに帝人ファーマでは、多職種連携情報共有システム「バイタルリンク」を展開している。

 日本では今後も少子高齢化が急速に進み、医療資源の不足と地域格差がさらに拡大し、地理的制約を受けないオンライン診療やオンライン健康支援サービスが、より多くの人々に必要となることが予測される。

 こうした中で、両社の保有するサービス、技術、ノウハウを融合させることにより、社会的ニーズに応えるソリューションの提供が可能になると考え、資本・業務提携に合意した。

 今回の提携により、帝人はオンライン診療とオンライン健康支援事業でノウハウを持つリンケージと、共同で新たなサービスの開発に注力する。また、リンケージとの連携を図りながら、将来的に地域包括ケア領域での新規事業の立ち上げを目指していく。

三菱ケミカル バイオエンプラが中国スマホの筐体に採用

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2019年10月8日

 三菱ケミカルは7日、バイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO(デュラビオ)」が、中国・聯想集団(Lenovo)のスマートフォンの筐体(3D形状背面板)に採用されたと発表した。

 Lenovoは、先進的な技術やデザインを取り込んだスマートフォンを積極的に販売しており、今回「デュラビオ」が環境配慮型素材であることに加え、筐体に求められる物性を兼ね備えていることを評価し、採用を決めたもの。

 従来スマートフォンの筐体には金属材料が使われていたが、今後導入される5G通信の電波を遮へいする懸念があり、非金属の材料への移管が求められている。しかし、ガラスは衝撃に弱く割れやすい点、従来型樹脂は透明性、耐傷性、耐衝撃性、光学的な歪みなど個々の物性において、それぞれ課題を抱えている。

 「デュラビオ」は、再生可能な植物由来原料であるイソソルバイドを用いたバイオエンプラ。透明性、耐傷性、耐衝撃性、光学特性の物性バランスに優れているといった特徴があり、スマホの筐体においてより自由度が求められるデザインにも適応が可能だ。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後も「デュラビオ」をはじめとする植物由来プラスチックの研究開発・用途展開を加速させ、環境にやさしく付加価値の高い製品の供給を通じ、循環型社会の構築やSDGsの達成に貢献していく。

アジア石化市況 エチレン3週連続870ドル/t

2019年10月8日

 芳香族3製品とも下落、SM再び1000ドル/t台割れ

 アジア地域の9月第2週の石化市況では、エチレンは下値が3週連続のステイ、上値は10ドル安となり、870~890ドル/tでの取引となった。

 中国や韓国で新規エチレン設備が立ち上がってきたことで先安観が出始める中、トラブルや定修要因などもあり、需給バランスは大きく崩れていない。ただ下値は4週連続で900ドル/tを下回り、上値も7週ぶりに900ドル/t台を割っており、需要は盛り上がりに欠ける状況だ。

 スプレッドは、ナフサ高の影響もあり

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