千葉工大など 海底資源の正確な面積算出方法を確立

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2019年12月24日

 千葉工業大学次世代海洋資源研究センターと産業技術総合研究所、東京大学、海洋研究開発機構、神戸大学はこのほど、南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)で、マンガンノジュールが密に分布する領域(マンガンノジュール密集域)を地図上に示し、その面積を正確に算出する方法を世界で初めて確立した。

 計5回の研究航海で調査した、南鳥島EEZ内約15万5500㎢の範囲の中の40%にも及ぶ広大な海底が、マンガンノジュール密集域であることを突き止めた。その面積は四国と九州を足し合わせた面積に匹敵する。密集域は南鳥島EEZ内の様々な海域に及んでいるため、南鳥島EEZの残りの未調査海域を考慮すれば、さらに面積は広がると予想される。

 南鳥島EEZにはマンガンノジュールのほか、レアアース汚泥やマンガンクラストといった海底資源が、豊富に存在することが近年明らかにされている。その中で、南鳥島EEZに分布するマンガンノジュールは、コバルトを多く含むという特徴がある。コバルトはエコカーやスマートフォンのリチウムイオン電池に必須の元素で、集積回路の多層配線技術の銅やタングステンに代わる金属となりうる重要なレアメタルであるが、価格変動が激しく、供給リスクがあることが問題となっている。

 今回の手法では、マンガンノジュール密集域に、実際にどの程度の量のレアメタル(特にコバルト)が含まれているかを直接知ることはできない。しかし、今後マンガンノジュールの化学分析を精密に行ってレアメタル含有量を明らかにし、今回開発した面積算出法と組み合わせることで、南鳥島EEZ内に存在するレアメタルの総量を精度よく算出することができるようになり、有望海域の効率的な絞り込みに繋がると期待される。