J&J 新型ウイルスの脅威に対し多角的な取り組みを開始

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2020年2月7日

 ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)はこのほど、ヤンセンにリソースを結集し、新型コロナウイルス感染症の流行に対する多角的な取り組みを開始すると発表した。その一環として、J&Jはワクチン候補の開発に着手するとともに、他の機関と幅広く連携して抗ウイルス療法のライブラリのスクリーニングを行う。

 新型ウイルスに対して抗ウイルス活性を持つ化合物を特定することが、解決策として有効であると考えられている。J&J執行委員会副議長兼最高科学責任者のポール・ストッフェルズ医学博士は「今回の新たな病原体の流行を受け、世界の潜在的なパンデミックの脅威に確実に対応できるよう、準備や調査、対応に投資することの重要性が一層高まった」と述べている。

 ワクチンプログラムでは、最適なワクチン候補の迅速な生産拡大を可能にするヤンセンの「AdVac」および「PER.C6」テクノロジーを活用。これらは、エボラ治験ワクチンの開発と製造に用いられ、J&Jによるジカウイルス感染症、RSウイルス感染症、HIV感染症に対する予防ワクチン候補の創製でも使用されている。

 このほかの多角的なアプローチとしては、既存の医薬品が使用可能であるかを判断するため、コロナウイルスの病態生理での既知のパスウェイを再調査する取り組みが挙げられる。

 ヤンセンはまた、研究の取り組みを支援するため、HIV感染症治療薬「プレジコビックス」配合錠300箱を上海市公共衛生臨床センターと武漢大学中南病院に、さらに、実験室での薬剤スクリーニング研究用として、中国疾病予防管理センターに50箱を寄付した。

 今回の要請は、同治療薬のプロテアーゼ阻害剤成分ダルナビルを含む、潜在的に有効な30の化合物の調査に関する上海マテリアメディカ研究所および中国科学院の勧告に沿って行われたもの。事例報告によれば、プロテアーゼ阻害剤は過去に、コロナウイルスに伴う重症急性呼吸器症候群(SARS)に対して潜在的に良好な臨床反応を示したことが判明している。

 新型ウイルスは、呼吸器系を攻撃するコロナウイルスと呼ばれるウイルスのグループ分類名に由来。同治療薬は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV‐1)感染症の治療に際し、中国をはじめ多くの国々で承認されている処方薬。新型コロナウイルス感染症の治療に関する同治療薬の安全性と有効性は証明されておらず、さらなる研究を行う必要がある。