チッソの4-12月期 液晶回復せず経常損失11億円

,

2020年2月12日

 チッソは10日、2019年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比5%減の1091億円、営業損失8億円(前年同期比16億円の改善)、経常損失11億円(同5億円の悪化)、純損失86億円(同38億円の悪化)となった。

 セグメント別で見ると、機能材料事業は売上高210億円。液晶材料は、中国での大型液晶パネル製造ラインの立ち上げに伴い、供給過剰の傾向が見られたほか、中国材料メーカーの台頭による影響を受け販売価格が下落した。また、生産設備の最適化を進め、設備の減損損失を計上した。

 加工品事業は売上高424億円。繊維製品は、原綿の国内販売は堅調に推移したが、中国・アジア地域の衛生材料市場で価格や品質面での競争激化により、汎用不織布の出荷が伸び悩んだ。肥料は、アジア地域向けの被覆肥料の輸出が堅調だったが、前年の値上げ前の先取り需要の反動から化成肥料を中心に出荷が低調となった。子会社JNCは、電子部品事業とLIB用セパレータ事業から撤退を決定し特別損失を計上した。

 化学品事業は、売上高207億円。オキソアルコールは、アジア市場の市況軟化の影響により輸出環境が悪化したことに加え、原料ナフサ価格の下落により販売価格が下落した。シリコン製品は、自動車関連市場の落ち込みが続き販売は低調となった。ポリプロピレンは、米中貿易摩擦による世界経済の低迷から、堅調に推移していた国内自動車向けの需要に減少傾向が見られたほか、安価な輸入品の流入による影響を受けた。

 商事事業は売上高161億円。主力のPPの販売では、販売価格が低下したものの、設備トラブルの影響が解消したことにより出荷が堅調となった。電力事業は売上高44億円。FIT活用に向けた既存水力発電所の大規模改修工事に注力した。また、一部、渇水の影響を受けたものの、総じて各発電所が順調に稼働した。

 その他は、売上高45億円。エンジニアリング事業は、石油化学業界での設備能力増強などの手持ち案件工事が順調に進捗した。なお、通期連結業績予想については、前回発表を据え置いている。