ユニチカ 環境配慮型食品包装用ナイロンフィルムを開発

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2020年2月18日

 ユニチカはこのほど、ケミカルリサイクルによる再生資源を有効活用した、食品包装用ナイロンフィルム「エンブレムCE」の開発に成功したと発表した。同社グループで推進する「for the EARTH」活動の一環。すでに、宇治事業所内の既存生産設備で生産方法を確立しており、顧客へのマーケティング活動を開始した。

 「エンブレムCE」は同社の重合設備でケミカルリサイクルし、再生したナイロン樹脂を使用したフィルム。ケミカルリサイクルは、製品として利用できない、ものや使用済みのプラスチックフィルム、成形品を化学的に分解することでプラスチック原料に戻し、異物を取り除いた後、再重合により再度製品として使用する方法だ。

 環境問題への意識の高まりの中、循環型社会による持続可能な成長社会を目指す「Circular Economy:CE」(循環経済)の考えに基づいて、植物由来の原料を用いたフィルムや、市場から回収されたプラスチックをリサイクルしたプラスチックフィルムが環境配慮型フィルムとして使用され始めている。

 しかしながら、これらの環境配慮型フィルムは、使用する材質によっては従来の石油由来フィルムと比較して機械物性の低下や衛生面の観点から、食品包装用途に推奨できないことなどの問題があった。

 「エンブレムCE」は、ケミカルリサイクルナイロンとフィルムの製造工程内で発生した、端材などを利用したマテリアルリサイクルを併用することで、機械物性や印刷適性などを損ねることなく、再生材料の利用比率を50%以上にすることができる。さらに、リサイクルする原料を厳密に管理することにより、食品包装用途への使用を可能にした。

 今年4月から実機での生産を開始し、2022年度以降、500t/年の販売を目指す。また、現在は同社グループの製造工程内で発生したフィルムと樹脂を再生材料の原料としているが、今後はフィルムの販売先である印刷・加工メーカーとの取り組みにより、再生材料の回収をも検討している。

 同社は環境配慮型の素材開発による事業展開を推進しており、今後も食品包装用途へのケミカルリサイクルによる環境配慮型フィルムのラインアップを拡充し、ビジネス拡大を目指す。