東レ ドイツで水素・燃料電池用核心部材の第2工場を新設

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2020年3月4日

 東レは3日、水素・燃料電池用部材を開発・製造・販売するドイツ子会社GNT(バイエルン州)の第2工場を新設することを決定し起工式を行ったと発表した。なお、稼働開始は2021年11月を予定している。

 今回の第2工場には、水素・燃料電池の核心部材である触媒付き電解質膜「Catalyst Coated Membrane(CCM)」と膜・電極接合体「Membrane Electrode Assembly(MEA)」を効率的に生産する設備を導入し、フル生産時には、両製品合わせて年間約1000万枚の生産を行う計画。これは、レンジエクステンダー方式デリバリーカー約8万台分に相当する。

 地球温暖化防止のための低炭素化について、各国ではパリ協定や国連のSDGsに掲げられた世界的目標の達成に向けて、ガソリン車・ディーゼル車など内燃機関(ICE)自動車のCO2排出抑制に関する政策の導入や法制化を進め、具体的な規制・基準を打ち出している。

 そのため、欧州、中国地域では、大手Tier1や自動車メーカーが、バス、トラック、デリバリーカーなどの商用車向けのレンジエクステンダー(REX)や乗用車向けを含む燃料電池車(FCV)に使用する水素・燃料電池分野へ本格参入している。これによりCCM、MEAの需要が飛躍的に増大する見通しであり、今回のGNT新設生産工場は、これら需要見通しへの顧客からの増産・供給の要請に応えるもの。

 東レグループは、水素・燃料電池向けに、高圧水素タンク用高強度炭素繊維、プリプレグ、水素脆性 高耐性ライナー樹脂、電極基材(GDL)、触媒層、高温運転性と水電解・水素圧縮にも好適な低ガス透過性とを備える炭化水素系電解質膜などの素材やその加工品を提供している。

 東レは2015年に、CCMとMEAの設計技術を持つGNTを買収し、東レの関連素材と融合してCCM、MEAの製造・販売拠点に育成してきた。将来の低炭素・水素社会構築のため、今後も一層、取り組みを強化していく考えだ。