東海カーボン フランスの炭素黒鉛製品メーカーを197億円で買収

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2020年4月13日

 東海カーボンは10日、フランスの炭素黒鉛製品メーカーであるCarbone Savoie(CS)の持株会社Carbone Savoie International(CSI)の全株式を、東海カーボンの子会社であるTokai COBEX(TCX)と共同で取得し子会社化することについて、株式譲渡予約契約を締結したと発表した。東海カーボンが70%、TCXが30%の株式を取得し、CSIとCSは連結子会社となる予定。取得金額は約197億円で、株式取得完了日は7月上旬を見込んでいる。

 東海カーボンは、2月に公表した3カ年中期経営計画「T‐2022」の中に、既存・周辺事業での戦略投資活用による成長方針を掲げている。CSI傘下の事業会社であるCSは、フランスを拠点に120年を超える歴史と伝統を持ち、高い技術力に裏打ちされた高機能・高品質の黒鉛化カソードおよび特殊炭素製品と、信頼と実績に基づく優良な顧客基盤がある。

 主力のアルミ精錬用カソード事業が対面するアルミニウム市場は、自動車や航空機など輸送機器分野の軽量化ニーズ、建材分野の都市化進展によるアルミ使用量の増加、飲料容器のアルミ化、エレクトロニクス分野では銅の代替需要等を背景に、長期的には安定した成長が見込まれており、アルミ精錬用カソード需要も堅調に推移する見通し。特殊炭素製品事業では、主として熱交換器や耐熱用途向けの素材を手掛けており、対面市場は引き続き堅実な需要の成長が期待されている。

 東海カーボンは、今回の買収により、精錬ライニング事業とファインカーボン事業を成長させ、収益力の向上のみならず、ポートフォリオの分散化を図ることができ、さらなる企業価値向上につながることから買収を決定した。

 株式取得の資金については、グループ内の自己資金を充当する予定。また、事業環境の変化に応じて、安定的な流動性確保と財務の健全性維持を考慮した資金調達(金融機関からの長期借入や社債発行、ハイブリッドファイナンスなど)を行う方針だ。