昭和電工 上海でVE・EMライン増設を完了、生産能力を2倍に拡張

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2020年6月16日

 昭和電工は15日、同社グループの中国法人・上海昭和高分子(SSHP)が、ビニルエステル樹脂(VE)と合成樹脂エマルジョン(EM)の生産ライン増設を完了し生産を開始したと発表した。中国での機能性樹脂事業の拡大を図るため、生産能力を約2倍に引き上げた。

 第5世代移動通信(5G)の進展など情報通信分野の発展による液晶ディスプレイやタッチパネルなどの電子材料市場の拡大に伴い、これらの部材の生産に使用されるVEの中国国内需要も急速に拡大している。さらに、VEは優れた耐食性と耐薬品性を持つことから、大気汚染防止のために導入が進んでいる火力発電所の排煙脱硫装置、電子材料工場の排水処理設備、ごみ処理設備や化学品貯蔵タンクなどの腐食防止内面ライニング用としても需要拡大が続いている。

 また中国では、環境保護強化の一環として2015年から始まったVOC(揮発性有機化合物)規制により、有機溶剤を使用した塗料や接着剤などの利用が厳しく制限されていることを背景に、水系の塗料や接着剤への切り替えが進み、それらに使用されるEMの需要も拡大している。こうした中、SSHPでは今回、VE・EM共に生産能力を約2倍に引き上げる増設工事を実施した。

 昭和電工グループは、収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体〝個性派企業〟を実現し、世界トップレベルの機能性化学メーカーになることを目標としている。今後も成長する中国市場に社会的価値の高い製品やサービスを提供して事業を拡大し、個性派事業の確立を目指す。

上海昭和高分子(SSHP)の外観
上海昭和高分子(SSHP)の外観