SEMI 半導体ファブ装置投資、年後半から上昇

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2020年6月17日

コロナ禍が懸念材料も、デジタル化が成長けん引

 半導体のファブ装置投資額は、2020年はコロナ禍が響き前半を中心に想定以上の落ち込みとなるが、後半から徐々に上昇し、来年には急成長を見せて過去最高額を上回る見通しだ。

 SEMIはこのほど、最新の「World Fab Forecast」レポートに基づき、2021年の半導体前工程ファブ装置投資額の予測を発表。ファブ装置の投資額は前年比24%増の677億ドルに達するとし、前回(2月発行)の予測額を10%上方修正した。

 レポートによると、来年は、全ての製品分野で堅調な成長が見込まれる。なかでもメモリーファブの投資額が最大の300億ドルとなり、最先端ロジックおよびファウンドリがこれに続く290億ドルとなる。メモリーファブでは、3D NANDの投資額が同17%増、DRAMファブは同50%増となり急成長をけん引する。ロジックおよびファウンドリの投資も、メモリーと同様に来年の回復が期待され、最先端ラインを中心に同16%の上昇となる。さらに、投資額は小さいものの高い成長率を示す製品群も貢献。イメージセンサーは同36%増、アナログおよびミクストシグナルは同13%増、パワー関連デバイスは同67%増となり、それぞれ一段の飛躍が予測される。

 一方、2020年の投資額については、2月予測(同3%増)から同4%減に下方修正した。コロナ禍により先行き不透明感が強まり、投資を控える動きが出ていることが背景にある。そのためメモリーのDRAMファブは同11%減、最先端ロジックおよびファウンドリも同11%減を想定している。

 こうした中、コロナ感染拡大によるステイホームの動きから、ウイルス対策として安全在庫を積み上げる企業が出てきている。データセンター向けなどに需要が伸びることから、3DNANDの投資額は同30%増を見込んだ。また、今年後半に投資が上昇することを予測しているが、パンデミックの影響で米国だけでも4000万人の労働者が失職しており(5月時点)、企業倒産の影響がコンシューマ市場や裁量的支出に波及することが懸念される。

 こうした下降気流の中にあっても、デジタル化やコミュニケーションのニーズが半導体産業の成長をけん引し、クラウドサーバー、サーバーストレージ、ゲーム機、ヘルスケア機器などが、メモリーやIT関連機器の需要を押し上げると分析している。