JEPSA リサイクル率89.5%、埋立処理が増加

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2020年6月25日

 発泡スチロール協会(JEPSA)は24日、2020年記者発表会を開催した。

青井新会長 中面
青井新会長

 今年度から就任した青井郁夫会長(カネカ常務執行役員)が挨拶に立ち、「政府から『プラスチック資源循環戦略』と『海洋プラスチックごみ対策アクションプラン』などが公表され、社会からもプラスチックの資源循環が大きく注目されている。また、コロナ禍でオリンピック・パラリンピックが延期になるなど、世界経済に及ぼす影響はリーマンショック以上といわれている。こうした中、発泡スチロール(EPS)の用途の創出・拡大は例年以上に重要な課題だ」との認識を示した。

 続いて2019年のEPS業界の概略を説明。昨年の出荷実績は前年比2%減の12万8000tとなった。青井会長は「合計では減少したが、物流箱、梱包材などの短期間使用の用途だけでなく、建材・土木など長期間使用される用途でも出荷が増加した」と指摘した。

 用途別に見ると、農水産・容器分野では水産部門が同5%減。イカ・サンマなどの不漁の影響が大きく減少傾向が続いた。農業部門は同3%増。一部に風水害の影響を受けた地域はあったものの、出荷量は堅調だった。食品鮮度保持機能を生かし、賞味期限の延長や食品ロス低減を期待した輸出向けや国内需要などが増加した。家電など緩衝材分野では、弱電部門は同5%減。前年の猛暑によるエアコン需要の反動があった。建材・土木分野は9%増。主力の断熱材や軽量盛土工法用途のほか、軽量性・加工性・耐久性を生かした様々な工法が普及し、用途の裾野が広がった。

 一方、リサイクルについては、有効利用率(リサイクル率)が89.5%と5年ぶりに90%台割れとなった。内訳では、マテリアル・リサイクル(MR)が51.4%、サーマル・リサイクル(TR)が38.1%。単純焼却(5.1%)は前年並みだったが、埋め立て(5.5%)が増加した。

 青井会長は「有効利用率減少の要因として、海外、特に中国や東南アジアでの使用済みプラスチック受け入れ禁止の影響が挙げられる。これにより国内滞留と埋め立て処理が増加した」との見方を示した。

 次に今年度の活動内容を紹介。同協会は「発泡スチロールの優れた特性で地球環境を守ります。」をビジョンに掲げ、地球環境を守る「持続可能な社会」実現に向けて。発泡スチロールの特性などの理解を深め、高いリサイクル率を維持し、「資源としての有効利用率の向上」(100%)を目指している。

 重点項目として、①食品鮮度保持機能などEPSの優れた特性を生かした漁業・農業分野の需要拡大、②環境負荷低減や資源消費抑制による社会貢献、③EPSの優れた環境特性(高い再資源化率)による、資源循環および資源有効利用率向上や適正回収・処理の推進の取り組みを実施、④EPS業界の健全な発展のための環境整備、などに取り組んでいく方針だ。