帝人 アラミド繊維が火星探査機のパラシュートに採用

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2020年8月21日

 帝人はこのほど、同社が展開するパラ系アラミド繊維「テクノーラ」が、7月30日に打ち上げられた米航空宇宙局(NASA)の無人火星探査機「パーセヴェランス」に搭載された着陸用パラシュートのサスペンション・コード(吊り下げ用のコード)およびライザー(サスペンション・コードなどを連結させる帯)の素材として採用されていると発表した。

 「パーセヴェランス」は、火星で生命の痕跡を調査するために、火星のサンプル採取を目的として打ち上げられた探査機。同社が開発した「テクノーラ」は、共重合タイプのパラ系アラミド繊維で、同一重量では鉄の8倍の強度をもち、耐衝撃性、耐熱性にも優れ、ロープやエンジンのタイミングベルト、航空宇宙用途などに幅広く活用されている。

 軽量ながら高い強度に加え、耐熱性と寸法安定性を備える「テクノーラ」は、2012年に打ち上げられたNASAの無人火星探査機「キュリオシティ」の着陸用パラシュートのサスペンション・コードにも採用されており、このパラシュートは9Gの重力、約2万7000Kgの荷重に耐えた。こうした過去の火星探査機への実績を高く評価されたことから、今回「パーセヴェランス」のサスペンション・コードにも採用された。

 「パーセヴェランス」に搭載されたパラシュートは、3万Kgを超える荷重、平均気温マイナス63℃、砂塵嵐や大気電気といった過酷な環境にも耐え得ることが実証されている。

 帝人グループは、宇宙の未来に向けた探索プロジェクトである「パーセヴェランス」打ち上げの一端を担うことにより、地球の持続可能な社会の実現に貢献し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指す。