NEDO 低炭素社会に向けCNF関連の研究開発に着手

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2020年9月10日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、低炭素社会の実現に向け、新たに「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー(CNF)関連技術開発」事業で14件の研究開発に着手すると発表した。期間は今年度からの5年間で、今年度予算は6.6億円。

 石油の価格上昇や枯渇リスク、CO2排出にともなう温暖化問題など、持続可能な低炭素社会の実現にはバイオマスなどの非石油由来原料への転換が必要となる。植物由来のCNFは、重量は鋼鉄の5分の1、強度は5倍以上の高性能バイオマス素材で、実用化への期待は高く、市場拡大のための用途開拓やコストダウンが求められている。

 NEDOは2013年度からの「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発」事業で、「高機能リグノセルロースナノファイバーの一貫製造プロセスと部材化技術開発」「CNF安全性評価手法の開発」「木質系バイオマスの効果的利用に向けた特性評価」など、木質系バイオマスから得られるCNFの活用技術開発を推進してきた。

 今回、低炭素社会の実現に向け「革新的CNF製造プロセス技術の開発」「量産効果が期待されるCNF利用技術の開発」「多様な製品用途に対応した有害性評価手法の開発と安全性評価」を行う。

 「CNF製造プロセス技術」では、CNF複合樹脂の製造コスト低減のため「生産性向上による労務費・原動費削減」「疎水化処理の薬品コスト低減」など製造プロセスの抜本的な見直しを行う。複合対象の樹脂は塩ビ、PA、PP、CRなど。

 「CNF利用技術」では、自動車や建築・土木資材、家電分野などに適用させるための製造技術や成形・加工技術の開発などを行う。「有害性評価手法の開発と安全性評価」では、拡大用途での安全性評価と、製品化時に行う簡易的な有害性評価手法を開発し、事業化支援につなげる。

 CNFを利用した製品の社会実装・市場拡大を早期に実現し、エネルギー転換・脱炭素化社会の実現を目指す考えだ。