出光興産 風力発電の長寿命化、潤滑剤設計がNEDO事業に

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2020年9月24日

 出光興産はこのほど、同社が提案する「風力発電機の長寿命化に向けたマルチスケールトライボ解析・実験による最適潤滑剤設計」が、NEDOの助成事業として採択されたと発表した。

 潤滑剤の性能(耐摩耗性・長期安定性)向上を図り、洋上風車の軸受や歯車で使用する潤滑剤の平均交換頻度を現状の5年から15年へと3倍に延長することで、機械の長寿命化を実現する新技術開発を行う。なお、事業期間は、2020~2022年度の3年間。

 NEDOの「風力発電等技術研究開発/風力発電高度実用化研究開発/風車運用・維持管理技術高度化研究開発」事業では、日本の洋上風力発電の導入拡大に向け、国内風車のダウンタイムと運転維持コストの低減、さらに発電量向上を目指した技術開発を行うことで発電コスト低減を目指すもの。今回の事業では、洋上風車の運転維持コストを低減する各コア技術の開発を目的とする。

 同社は、「風車運用・維持管理技術高度化研究開発」事業の中で、兵庫県立大学および岡山大学と協働し新技術開発として、洋上風車の軸受や歯車のメンテナンスフリー化に寄与する潤滑剤の最適な分子構造の創出と実証を行う。

 新技術開発は、これまで潤滑剤開発で培ってきた基材最適化技術・評価方法をベースにし、そこに兵庫県立大学のシミュレーション技術とMI(マテリアルズインフォマティクス)技術を駆使したスーパーコンピューターによる大規模実証計算を利用。データに基づく理論的根拠による最適な基材の分子構造や潤滑剤の組成を予測する。基材候補には、両大学で開発した、摩擦・摩耗の低減に寄与する複数の新材料(トライボナノマテリアル添加剤)も対象に加える。

 出光興産は、これまでも技術立脚型のグローバル潤滑油メーカーとして新しい価値創造に取り組んできた。今回の採択を受け、洋上風力発電の導入拡大に向けた日本発の新技術開発をさらに推進する考えだ。

NEDO実証事業 体制図
NEDO実証事業 体制図