NEDOなど ヒートポンプ効果の定量評価で導入を促進

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2020年10月5日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)、早稲田大学、金属系材料研究開発センター、前川製作所はこのほど、産業用ヒートポンプの導入効果を定量評価できる「産業用ヒートポンプシミュレーター」を開発した。簡単な入力と操作で、導入後の1次エネルギー消費量とCO2排出量を短時間で高精度に試算できる。

 日本は化石燃料などの1次エネルギーの9割は輸入であり、経済的・温室効果ガス排出抑制・エネルギーセキュリティー維持の観点から運輸・民生・産業分野の省エネルギーが求められる。しかし、産業分野の多くは高温燃焼や蒸気ボイラーの熱を利用するため、多量の化石燃料を消費し温室効果ガスを排出。しかもその熱エネルギーの1部は使用されずに排熱(未利用熱)として廃棄されている。

 NEDOとTherMATは「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」事業で、2022年度を目標に100℃弱の回収熱からエネルギー消費効率(COP)3.5以上で最高200℃の熱供給が可能な、産業用高効率高温ヒートポンプの開発を進めている。

 一方、産業用ヒートポンプ導入のための効果評価には、生産プロセスに適したヒートポンプと運転条件の選定、COP算定のための蒸気・温水温度、熱源機器のエネルギー使用量の詳細な計測データに加え、ヒートポンプの試験データが必要になり、導入検討のための多大な時間とコストが障壁となっていた。

 今回開発した「産業用ヒートポンプシミュレーター」は、想定する利用方法を選択し、冷媒の種類や定格加熱能力、時刻ごとの給水温度や流量を入力すれば、ヒートポンプのCOP、加熱能力、1次エネルギー消費量、CO2排出量を短時間で高精度に試算でき、時間とコストを大幅に節減する。

 今後、同シミュレーターで産業用ヒートポンプの導入効果を具体的に示すことで、未利用熱の有効活用を推進し、徹底的な省エネルギー化と地球温暖化防止へ貢献する。またポンプ・タンク・弁など生産プロセス全体の設計やエンジニアリングを可能にする「産業用ヒートポンプ導入支援ツール」へと高度化し、広く活用できるよう一般公開と標準化を目指す考えだ。