BASF 超高粘度PESUを上市、膜などの耐久性向上

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2020年10月7日

 BASFはこのほど、ポリエーテルスルホン(PESU)「Ultrason(ウルトラゾーン)E」の超高粘度グレード「E7020P」を日本で上市したと発表した。優れた機械特性を維持しつつ分子量をかつてないレベルに上げたことで、食品・飲料分野、電子工業分野、医薬品分野向けの高耐久性の中空糸膜やフィルターの製造が可能となった。

 PESUは酸やカセイソーダへの高い耐薬品性と機械的強度をもち、高圧などの厳しい環境下での長期間使用が可能。「ウルトラゾーンE7020P」は過熱蒸気への耐性があり、膜やフィルターの洗浄温度を上げ、洗浄頻度を増すことができる。高圧蒸気(134℃)やエチレンオキサイド、ガンマ線による滅菌を繰り返しても、膜の繊細な細孔構造は維持される。

 「ウルトラゾーンE」は、ゲルやオリゴマー含有量の少ない高純度材料で、安定的な膜製造プロセスを確実にする。広いpH値(0~13)でも劣化しない。米国食品医薬品局(FDA)と欧州の食品接触材料の反復使用基準に適合し、飲料水や食品加工用途にも使用可能だ。

 ほかにも「ウルトラゾーンS」(ポリスルホン)、「ウルトラゾーンP」(ポリフェニルスルホン)などのスルホン系樹脂製品があり、水処理膜、温水や食品と接する部品のほか、電子機器、自動車、航空宇宙産業の軽量部品にも使用される。

 「ウルトラゾーン」製品群のその優れた特性で、熱硬化性樹脂、金属、セラミックを代替することを目指している。