住友化学 農薬事業体制を強化、米VBCに関連機能を統括

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2020年10月12日

 住友化学は9日、バイオラショナル事業の強化を目的として、同社グループ内の組織体制を改編し、同事業に関連する全機能を米国のベーラント・バイオサイエンス社(VBC)に統括させると発表した。また、化学農薬の米国拠点であるベーラントUSA社(VUSA)の本社と研究開発拠点を集約した新施設を開設。これらにより、住友化学グループのグローバル農薬関連事業の一層の強化、拡大を図るとともにサステナブルな農業への貢献を加速する。

 同社グループのグローバル農業関連事業は、化学農薬とバイオラショナルが大きな柱。世界の農薬市場が人口の増加による食料増産ニーズを背景に拡大している中、とりわけバイオラショナル製品は、今後も需要増加が見込まれる。こうした状況を踏まえ、同社グループは、バイオラショナル事業について組織体制を改編。同事業に関連する全機能をVBCに統括させて独立性を高めることで、事業強化を図る。

 具体的には、VBCにバイオラショナル事業のグローバル販売を統括するチーフコマーシャルオフィサー(CCO)のポストを新設し、その下に、各地域のバイオラショナル製品の販売やサービスの提供に特化した組織であるサステナブル・ソリューション・ビジネスユニット(SSBU)を配置して人員も増強する。SSBUは、すでにVUSA内に設置している米国に加え、今後、南米と欧州の農薬事業を統括する子会社にも新設する予定。

 バイオラショナル製品のパイプラインとしては、現在、上市間近な6つの新製品のほか、開発初期・中期のステージでも多くの有望な製品がある。6つの新製品については、2022年以降に登録を取得後、順次上市し、各地域のSSBUが販売を担う計画だ。

 化学農薬については、米国カリフォルニア州北部に分散していたVUSAの本社と研究開発拠点を集約した新施設、「ノースアメリカンイノベーションセンター」(NAIC)を8月に同州サンラモンに開設。NAICには、最新鋭の研究開発設備を導入しており、引き続き、環境負荷低減を目指した革新的な化学農薬の開発に注力していく。