ダイセル 真球微粒子でピッカリングエマルションを開発

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2020年10月26日

 ダイセルは23日、酢酸セルロース真球微粒子「BELLOCEA」を使ったピッカリングエマルションを開発したと発表した。

顕微鏡で拡大した「BELLOCEA」
顕微鏡で拡大した「BELLOCEA」

 ピッカリングエマルションとは、液体同士、もしくは液体と気体が接する面(界面)に固体の粒子を吸着させることで、液体の乳化(ねばりけのある状態)を安定させる技術。乳化には界面活性剤と呼ばれる物質を使用するのが一般的だが、ピッカリングエマルションによる乳化は、界面活性剤よりも乳化している物質が分離しにくい(安定性が高い)とされる。

 酢酸セルロース真球微粒子「BELLOCEA」は、同社の長年の主力製品である酢酸セルロースを独自の技術で加工した真球状の微粒子。酢酸セルロースは自然に存在する「酢酸」と、植物由来の「セルロース」を原料とした環境にやさしい素材で、土壌やコンポスト(廃棄物中)のほか、海洋でも生分解されることが確認されている。

ピッカリングエマルションの光学顕微鏡画像
ピッカリングエマルションの光学顕微鏡画像

 同社は今回、「BELLOCEA」をピッカリングエマルションに応用することに成功。「BELLOCEA」は、ボディクリームやクリームファンデーションなどへ配合することで、高い乳化安定性と柔らかな肌触りを付与する。同社は、天然由来で環境にやさしい「BELLOCEA」によるピッカリングエマルションを、界面活性剤に代わるサステナブルな乳化法として、化粧品業界などに展開していく。

 なお「BELLOCEA」の開発は、環境省の委託事業に採択されている。同省の「令和2年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に「自然回帰性原料による合成系微粒子代替に関する実証」として採択されたもので、原則3年以内の実施期間で社会実装に取り組む。そして実証事業の下で製品開発をさらに加速させ、環境にやさしい原料という、化粧品業界への新たな選択肢を提示する。

 同社は今後も、人々の「美と健康」に貢献する、サステナブルな化粧品素材の開発を進めていく考えだ。