ダイセルの4-9月期 減収減益も7月予想からは上振れ

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2020年11月9日

 ダイセルは6日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比17%減の1753億円、営業利益49%減の91億円、経常利益46%減の102億円、純利益72%減の33億円となった。自動車エアバッグ用インフレータや、エンジニアリングプラスチックの販売数量が減少したことなどにより減収減益となった。ただ7月発表の予想からは、コストダウンの着実な実行とコロナ禍に対応した経費削減などにより利益は予想を上回っている。

 セグメント別に見ると、メディカル・ヘルスケア事業は売上高1%減の78億円、営業利益22%減の8億円。コスメ・健康食品事業は、海外での需要の先取りなどにより化粧品原料の販売数量が増加したが市況が下落した。

 スマート事業は売上高20%減の103億円、営業利益55%減の10億円。液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ事業は、ディスプレイ需要の低迷などにより、販売数量が減少。IC/半導体事業は、半導体市場の需要が堅調に推移したことで販売数量が増加した。

 セイフティ事業は売上高32%減の272億円、営業損失17億円(40億円減)。自動車エアバッグ用インフレータなどのモビリティ事業は、自動車生産台数の減少などにより、販売数量が減少した。

 マテリアル事業は売上高11%減の493億円、営業利益6%減の75億円。酢酸は需要の減少や市況の下落、酢酸誘導体は一部製品の販売数量が増加したものの販売価格低下の影響を受けた。たばこフィルター用トウは、海外主要顧客での原料確保の動きなどもあり、販売数量は横バイで推移したが、為替の影響を受けた。

 エンジニアリングプラスチック事業は売上高17%減の747億円、営業利益32%減の82億円。エンプラ事業は、自動車生産台数の減少やスマートフォンの需要が低迷した。樹脂コンパウンド事業は、自動車生産台数の減少や住宅着工件数減少の影響を受けた。シート、成形容器、包装フィルムなどの樹脂加工事業は、包装フィルムの販売が減少した。

 なお同日、通期業績予想の修正を発表。売上高3680億円(前回予想比180億円減)、営業利益220億円(同45億円増)、経常利益230億円(同35億円増)、純利益140億円(同40億円増)を見込む。第2四半期までの業績動向に加え、下期以降の事業環境の見通しや、原料価格低下メリットの確保、コストダウンなどの収益改善の取り組み、10月のポリプラスチックス完全子会社化などを踏まえている。