旭化成 上期業績はコロナ影響により減収減益

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2020年11月9日

通期業績予想を発表、下期の環境改善を見込む

 旭化成は6日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比7%減の9894億円、営業利益25%減の768億円、経常利益26%減の775億円、純利益40%減の468億円となった。

 同日開催されたオンライン会見の中で、柴田豊取締役兼副社長執行役員は、「クリティカルケア事業を中心にヘルスケアが増益となったが、新型コロナ感染拡大の影響をマテリアルや住宅で受け、グループ全体で減収減益となった」と総括した。

 セグメント別に見ると、マテリアルセグメントは減収減益。LIB用セパレータや電子材料製品の販売数量は伸びたが、コロナ影響により石化製品市況の悪化や自動車関連市場などでの需要減退の影響を受けた。上期のアクリロニトリル(AN)市況は1007ドル、スプレッドは233ドルだった。

 住宅セグメントは増収減益。コロナ影響を受けたが、不動産部門が好調に推移した。ヘルスケアセグメントは増収増益。コロナ影響に加え、ベロキシス社の連結に伴うのれん等償却負担の増加や国内薬価改定などの影響があった。ただ、人工呼吸器の需要増によるクリティカルケア事業の貢献により増益となった。

 なお同日、これまで未定としていた通期連結業績予想を発表。売上高は前期比6%減の2兆340億円、営業利益21%減の1400億円、経常利益23%減の1420億円、純利益16%減の870億円を見込む。

 柴田副社長は「コロナ影響は依然不透明な状況だが、市場環境は第2四半期以降改善し、上期に需要の回復も見られた。下期以降もこの流れが継続し、自動車関連市場をはじめとした市場環境が徐々に改善していく」との見通しを示した。

 下期のマテリアル事業について、基盤マテリアルでは「誘導品であるABS樹脂の生産が好調であることから、ANの事業環境の改善が期待できる」とし、下期のAN市況を1200~1250ドル、スプレッドを330~403ドル程度を想定。パフォーマンスプロダクツでは、自動車関連を中心に需要が回復し、合成ゴムやエンプラなどの販売数量が増加する。スペシャルティソリューションは、LIB用セパレータは好調を維持するが、延岡の半導体工場で発生した火災事故の影響として数十億円の機会損失を織り込み、上期からの減益を見込んでいる。火災事故からの復旧の見通しについて柴田副社長は「当局の立ち入り調査中であり、再開めどが立っていない」と語った。