出光興産の4-9月期 販売減や在庫評価損で減収減益

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2020年11月11日

 出光興産は10日、2020年度第2四半期(4-9月期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比33%減の2兆157億円、営業利益95%減の31億円、経常損失258億円(同789億円減)、純損失321億円(同775億円減)となった。

出光興産:決算会見 尾沼温隆財務部長
決算会見 尾沼温隆財務部長

 同日開催された決算会見の中で、尾沼温隆財務部長は「在庫評価損の影響が残り損失を計上した。在庫影響を除いたセグメント利益は、コロナ影響による需要減やニソン製油所の持分法投資損失増加などを受け371億円の減益となった」と総括した。コロナ影響については、燃料油主要4品目の販売は約90%に回復も、ジェット燃料は約40%に留まった。また、基礎化学品市況の軟化、資源価格の下落や、高機能材セグメントの需要も落ち込んだ。

 セグメント別に見ると、燃料油は売上高34%減の1兆5707億円、セグメント損失303億円(同248億円減)。コロナ影響による販売数量の減少などにより減収となり、製品マージン拡大や燃料費減少などの増益要因を、在庫評価損の拡大や販売数量減少などの減益要因が上回った。

 基礎化学品は売上高39%減の1440億円、セグメント損失20億円(同163億円減)。ナフサ価格が下落したことなどで減収となり、スチレンモノマーやパラキシレンなど製品マージンが縮小し減益となった。

 高機能材は売上高21%減の1554億円、セグメント利益55%減の62億円。潤滑油事業で販売数量が減少した。電力・再生可能エネルギーは売上高3%減の622億円、セグメント損失5億円(同9億円減)。ソーラー事業で販売数量が減少し販売単価も下落した。

 資源は売上高53%減の123億円、セグメント利益71%減の25億円。石炭・その他事業は、売上高36%減の701億円、セグメント利益94%減の11億円だった。

 なお同日、通期業績予想について修正を発表。売上高4兆3千億円(前回予想比4千億円増)、営業利益350億円(250億円減)、経常損失20億円(320億円減)、純損失200億円(250億円減)を見込む。

 尾沼部長は「売上高はドバイ原油の上昇を見込み増収となり、利益項目は、高機能材の販売回復、経費削減など増益影響を折り込む。ただ原油価格の想定を見直し、通期で500億円程度の在庫評価損を見込んでいる」と語った。また中期経営計画については「コロナ感染の拡大に加え、政府が2050年の温室効果ガス実質ゼロを打ち出すなど事業環境が変化しており、見直しの上開示する」と明らかにした。