BASF PPAが45kW燃料電池の複数の部品に採用

, , ,

2020年12月14日

  BASFはこのほど、ポリフタルアミド(PPA)「Ultramid Advanced N3HG6」が高馬力ゼロエミッションエンジンを製造するNuvera Fuel Cells社(ヌベラ、米国マサチューセッツ州)の最新世代の45kW(E-45)燃料電池エンジンの複数部品の素材として採用されたと発表した。同エンジンは、今後3年かけて中国の路線バスや配達用車両に導入される予定。

 マニホールドやサーモスタット用筐体、逆止め弁、エジェクター、エキゾーストパイプなどの部品は、様々な温度帯で安定した材料特性が必要。「Ultramid Advanced N3HG6」は高い熱耐性、薬品耐性と優れた機械特性に加え、衝撃強度や寸法安定性が高く、長期性能も安定している。部品によっては冷却水や空気、水素の流れにより様々な媒剤にさらされるが、ポリアミド9T(PA9T)ベースのPPA化合物は優れた薬品耐性と、反応しやすい燃料電池や電気部品用途での純度要件も満たす。

 E-45燃料電池エンジンのアルミダイカスト部品や高温ホースを高性能プラスチックに置き換え、性能と安全性を維持しつつ生産規模拡大のために軽量化するという課題に対し、優れた剛性と強度、高い強靭性、優れた摩耗挙動でエンジン部品の安全性と高品質を実現する。冷却剤用途向けの広範な試験で、エチレングリコール・水・水素混合液/105℃/1万~2万時間の継続使用に耐えることを確認。低燃料・気体透過性、低揮発性により、エンジンシステムの腐食やファウリングを防ぐ。また、BASFの専門知識と独自のシミュレーションツール「Ultrasim」によるデザイン最適化サービスや、適切な材料提供により開発を早め、低単価と予定通りの市場投入を実現した。

 「Ultramid Advanced」には異なる樹脂(PA9T、PA6T/6I、PAT6T/66、PA6T/6)、難燃剤の有無、様々な熱安定剤、無着色からレーザーマーキング可能な黒色といった色味、短・長繊維ガラスや炭素繊維強化材など、射出成形や押出成形用に50以上の配合グレードがある。自動車産業や電気電子産業、機械工学、消費財など多様な分野で、軽量・高性能な次世代プラスチック部品の可能性を広げる。