《化学企業トップ年頭所感》ENEOSホールディングス 大田勝幸社長

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2021年1月8日

 昨年から続く新型コロナによる行動や価値観の変化は現在も進行中であり、将来の情勢の正確な予測は困難だが、脱炭素化とデジタル化が急速に進んでいくことは間違いない。当社グループ長期ビジョンの前提は「低炭素循環型社会の到来」「デジタル革命の進展」「ライフスタイルの変化」であり、この方向性に変わりはなく、むしろ取り組みへのスピードアップが必要になる。

 こうした状況の中、構造改革を進め成長するためにも、「変革への挑戦」「スピードアップ」「成果へのこだわり」の3点を意識してほしい。

 まずは「変革への挑戦」だが、コロナ対応の中で、これまでの常識が通用しない世界や様々な制約がある世界であっても、思い切った変革と斬新な発想により商品やサービスを生み出すことで成長できること、ビジネスや働き方にも変革の余地が多くあることを学んだ。今を過去の延長線上にない未来を切り拓くチャンスと捉え、失敗を恐れず変革に挑戦していこう。

 「スピードアップ」については、昨年来、意思決定と業務遂行の迅速化のために権限委譲を進めてきたが、さらにスピードを上げる必要がある。そのためには、やらなくてもよいことの見極めとデジタルの力を最大限に利用することが重要だと考えている。また、この1年で在宅勤務が浸透し、コミュニケーションのあり方やオフィスの意義、時間の使い方を考え直す契機になった。新しい働き方で生まれたアイデアもスピーディーに実行してこそ初めて素晴らしい価値に繋がる。変化の激しい時代ではスピードがもつ価値はとてつもなく大きい。

 そして、「成果へのこだわり」では、働き方が変わっていく今こそ改めて自分の仕事の価値と成果を考える必要がある。変革を成し遂げるために最も重要なのは、実現しようとする強い意志と情熱だからだ。

 最後になるが、ESGやSDGsが、企業経営や私たち一人ひとりの取り組みの上で大きく注目されている。今回のコロナ禍で、どのような環境下でもエネルギーや素材の供給を通して経済や生活を支え続けることが、最大の使命であることを改めて認識した。将来にわたり、環境問題など変化する社会のニーズに応えながら、この使命を果たし続けていきたい。歴史を振り返えると、困難な時代にこそ、新しい時代を創る原動力が生み出されてきたとも言える。未来を決めるのは、今の私たちの行動である。創造と革新を通じて、私たち自身の成長、そして社会の発展と活力ある未来づくりに貢献していこう。