《化学企業トップ年頭所感》日本プラスチック工業連盟 岩田圭一会長

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2021年1月13日

 昨年は新型コロナウイルスの大流行により生活様式や人々の往来など、すべてが劇的に変化し、世界経済はリーマンショックをも超える危機に直面した。

 こうした中、ビジネスの世界ではこの困難をチャンスに変えようとする動きも多く見られ、デジタル技術が一気に進展するとともに、「ニューノーマル」に見合った製品やサービスの提案のほか、新しい働き方も定着し始めた。また、様々な場面で、感染防止用にプラスチック製品が多用され、プラスチックのもつ利便性や有用性が改めて社会で認知されたものと感じている。

 しかしながら、昨年、4年ぶりに当連盟が実施したイメージ調査では、海洋プラスチックや地球温暖化などの問題が深刻化していることを背景に、プラスチックのイメージが悪化していることが示された。この事実をしっかりと受け止め、プラスチックの重要な役割、社会への貢献、業界としての取り組みや考えが適切に消費者に伝わるよう、引き続き努力していく考えだ。

 当連盟では現在、独自に策定したプラスチック資源循環戦略に基づき、従来の3Rを深化させる活動だけでなく、リサイクルプラスチックの利用促進のための新たな再生ルートづくりや、関係省庁に対する意見具申などを行っている。資源循環確立のためには、幅広い連携が欠かせないことから、原料メーカーや成型メーカー、廃棄物処理会社、再生メーカーの皆様と協力しながら、複数のワーキンググループで議論を重ねており、2018年に策定した「海洋プラスチック問題の解決に向けた宣言活動」と併せ、本年も重点課題と位置づけて取り組んでいく。

 また、当連盟の業務の柱の1つであるプラスチックの国際標準化については、昨年は積極的に日本からの規格開発推進に努めた。本年は、従来からの事業受託と併せ、リサイクルに関する規格開発を日本主導で推進していくことを目指す考えだ。

 このような背景の下、当連盟では2021年度から始まる新たな4カ年計画を取りまとめているところだ。昨年は、菅内閣の発足やアメリカ大統領選挙でのバイデン候補の勝利など政治面でも大きな変化があったが、持続可能社会を追求する世の中の大きな流れは不変だろう。当連盟としては、プラスチック最適利用社会の実現に向けて、各省庁、関係する団体などと密接に連携しながら、取り組んでいく所存だ。本年も引き続きご支援とご協力をお願い申し上げる次第だ。