旭化成 水島に結晶セルロース工場、2拠点化で事業拡大

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2021年1月14日

 旭化成は13日、添加剤事業の強化拡大を図るため、水島製造所(岡山県倉敷市)内に結晶セルロース「セオラス」の第2工場を建設すると発表した。投資金額は約130億円。今年9月に着工し、2023年春の竣工を予定している。

 同社は、医薬品などで主に錠剤の賦形剤として利用される「セオラス」を、宮崎県延岡市で1970年から製造し国内外に販売している。主用途である医薬品錠剤向け需要は、今後も堅調に推移することが想定され、将来的な供給能力の拡充を検討してきた。

 中でも、成形性に特化した「KGグレード」と成形性と流動性を両立させた「UFグレード」の高機能グレードは、飲みやすい錠剤の設計、錠剤の小型化、複数薬物の合剤化、錠剤生産性の向上といった効果を発現することから国内外で高い評価を獲得。需要も大きく伸長しており、特に供給力の強化が求められている。さらに、顧客の原料調達リスクを軽減するため、生産拠点の複数化による安定供給力向上の要望も高まっている。

 こうした中、同社は、これらの供給力強化ニーズを充足することを目的に、大幅な生産能力増強となる今回の設備投資を水島製造所内で実施することを決定した。なお、今回の投資案件は、同社が2014年に石油化学事業の構造改革を行って以降、水島製造所での初めての工場建設プロジェクトとなる。

 同社は、今後も「セオラス」を国内外のより多くの顧客へ提供し、これまで錠剤にするのが難しかった医薬品の製造に貢献する。さらに機能を高めた製品を開発・市場投入し、製薬会社、患者の期待に応えていく考えだ。

セオラス「KGシリーズ」と「UFシリーズ」
セオラス「KGシリーズ」と「UFシリーズ」