昭和電工の12月期 利益項目が赤字も今年度は改善見込む

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2021年2月18日

 昭和電工は17日、2020年12月期(1-12月期)の連結決算を発表した。売上高は前年比7%増の9737億円、営業損失194億円(同1402億円減)、経常損失440億円(同1633億円減)、純損失763億円(同1494億円減)となった。

 オンラインによる決算会見の中で森川宏平社長は、「昨年はコロナによる市況悪化の影響を大きく受け、様々な製品で出荷量が減少した。特に黒鉛電極は、在庫調整局面にあったところにコロナ影響が重なり出荷量が激減し大幅に収益が悪化した。一方、電子機器の需要増で電子・エレクトロニクス分野は堅調な成長となった」と総括した。

 セグメント別で見ると、石油化学セグメントは減収減益。オレフィン事業は、1-3月期の東アジアの需給バランスの軟化、原料ナフサ価格に連動しエチレン・プロピレンなどの製品市況が低下し、誘導品の定修による販売減もあった。

 化学品セグメントは減収減益。情報電子化学品事業は、半導体業界の生産回復を受けて数量が増加し、新規連結したコーティング材料事業も寄与した。一方、基礎化学品事業は、コロナ禍の影響を受け、液化アンモニアやANは需要が減少し、CRは輸出数量が減少した。

 エレクトロニクスセグメントは増収増益。LIB材料事業はアルミラミネート包材の販売量が増加した。ハードディスク事業は、データセンター向け出荷は増加したもののPC向け出荷が減少。SiCエピタキシャルウェハー事業は、電鉄向けを中心に堅調に推移した。

 無機セグメントは減収・営業損失。黒鉛電極事業は、世界的な鉄鋼生産の鈍化と顧客在庫の取り崩しによる需給軟化を受けて減産を強化した。セラミックス事業は、自動車・鉄鋼業界の減産を受け研削材などの販売数量が減少した。

 アルミニウムセグメントは減収減益。アルミ電解コンデンサー用高純度箔は、産業機器・車載向けなど需要業界の生産調整を受け出荷が減少。アルミ機能部材事業は自動車生産の減少や、OA機器・工作機械業界などの需要低迷を受けアルミ部材の販売が減少した。アルミ缶事業は、国内は生産能力の削減、ベトナム市場はコロナ禍の外出規制でビール生産が大幅に減少し、それぞれ販売数量が減少した。

 昭和電工マテリアルズセグメントは減収・営業損失。データセンターの伸長を背景に、半導体回路平坦化用研磨材料などの電子材料や、銅張積層板などの配線板材料は堅調に推移した。一方、コロナ影響で自動車市場が悪化し、樹脂成形品などのモビリティ部材は低迷した。なお、営業利益にはのれん償却費約280億円を含んでいる。

 2021年度の通期業績予想については、売上高32%増の1兆2800億円、営業利益450億円(644億円改善)、経常利益350億円(790億円改善)、純損失140億円(623億円改善)を見込む。森川社長は、「昨年下期からの自動車生産や鉄鋼需要の回復などを背景に、2021年度はほぼすべての事業において大幅な業績の回復を見込む」と語った。