NEDO CO2から合成燃料、プロセス技術の開発着手

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2021年3月3日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、CO2を液体合成燃料に変換し、カーボンニュートラル(CN)な燃料を高効率で製造する一環プロセスを構築する研究開発として、1グループによる2テーマを採用した。

 製油所や工場などから排出されたCO2を原料に、再生可能エネルギー由来の水素や電力と合成技術を組み合わせることで、内燃機関向け液体合成燃料を一貫製造する技術の確立に取り組む。このプロセスで製造した液体合成燃料は将来的に自動車や航空機に供給する計画で、これにより温室効果ガスの大幅削減を目指す。

 菅首相が昨年10月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を打ち出したことを踏まえ、経済産業省は関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定。CNの実現にはCO2を回収・貯留して利用する仕組みの確立が不可欠とされており、中でも液体燃料の製造技術は、CO2を有効利用する手法の1つとして注目されている。

 ただ、液体燃料は既存の石油サプライチェーンで供給できるため新たなインフラ整備が容易である半面、製造面では生産効率の低さやコストの高さといった課題があり、普及に向けては官民が一体となって技術開発に取り組む必要がある。

 こうした中、NEDOはCO2を原料に再エネ由来の水素や電力と合成技術を組み合わせることで、液体化石燃料を代替する内燃機関向けの液体合成燃料を高効率に一貫製造するという、世界でも類を見ない研究開発に着手。そして今回、直接合成や選択性制御などの「次世代フィッシャー・トロプシュ(FT)反応の研究開発」と「再エネ由来電力を利用した液体合成燃料製造プロセスの研究開発」の2テーマを採択した。これによりCO2を有効利用するカーボンリサイクルを促進するとともに、CO2の排出量削減を目指す。

 採択した2テーマでは、CO2を原料とした化学品製造の実現や炭化水素製造に最も親和性が高いと考えられるフィッシャー・トロプシュ反応の次世代技術開発と液体合成燃料一貫製造プロセスの構築と最適化、さらに将来のスケールアップに向けた研究開発を行う。事業期間は2020~2024年度で、全体予算は45億円程度を見込む。