【化学企業 入社式訓示⑤】DIC 猪野薫社長

, ,

2021年4月8日

 62名の皆さんを迎えることができ、大変嬉しく深く感謝し、心から歓迎する。

 新型コロナウイルスの出現で生活は一変した。テレワークが常態化し、これまでと異なる「もの作りの現場」を真剣に考えるきっかけとなった。「生産性の向上」と「働きがいの向上」を目指した「働き方改革」の全社横断的プロジェクトをスタートした。これからはワークライフバランスはもちろん、「能動的に取り組めて、働きがいある」職場が求められる。「やりがい」と「働きやすさ」を掛け合わせ、働くことに誇りをもち、能力と意欲ある「個」と「多様性」が正当に評価されていると実感できる「自己実現の場」を構築したい。

 デジタル化が進んでも、仕事は「人」が進め「人」がつながる中で進むという意味で、「働き」の本質は変わらない。「つながる」ことに知恵と工夫が必要だ。上司・先輩・同僚との「信頼関係」構築にはコミュニケーション能力が一層重要になる。高める努力をすれば「信頼貯金」が殖え、不足すると正論を聞いてもらえない場合もある。会社においても「信頼貯金」は大事で、社会に貢献する企業として尊敬されるには、社会課題に取り組む姿勢と正しい企業姿勢が重要だ。

 DICはESG経営を推進し「社会的価値の向上」と「経済的価値の向上」のシンクロ領域を進むべき事業領域とし、気候変動、海洋プラスチック問題、食の安全、デジタル化などの社会課題と社会変革にフォーカスし、事業ポートフォリオの質的転換を目指している。そして10年後のあるべき姿「ユニークで社会から信頼されるグローバル企業」を実現させる。

 毎年新入社員には「企業は誰のためにあるか」を考えてもらっている。会社は「個人が活躍する場」であり、経営のあり方として、意欲や能力のある全ての個人への「活躍の場」の提供と「正しいことを正しく行う」企業風土の醸成を重視している。それを踏まえ、真のDICパーソンになるために「異文化を受け入れる懐の深さと柔軟性をもつこと」「多様性(異なる性、国籍、意見をもつ人)とのコミュニケーション能力を身につけること」「常に『社会から信頼されるDICブランド』を意識すること」の3点をお願いする。個の多様性を結集し、素晴らしい会社を一緒に創っていこう。