昭和電工 アルミ合金板材、車載用バスバーへの展開を本格化

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2021年4月28日

 昭和電工は27日、高熱伝導性・高強度アルミニウム合金製、板材「ST60-HSM」の車載用バスバー(大容量の電流を導電するための導体)への展開を本格化し、複数の自動車部品メーカーに今年からサンプル提供を開始したと発表した。

アルミニウム合金製板材「ST60-HSM」の試作品
アルミニウム合金製板材「ST60-HSM」の試作品

 同社が開発した「ST60-HSM」は、純アルミニウム並みの高熱伝導性とアルミニウム合金系統の6061並みの高強度をもつアルミニウム合金製板材で、PCの液晶バックライトのシャーシなどに採用されている。

 昨今のグローバル規模でのカーボンニュートラル実現に向けた取り組み強化を背景に、自動車業界でもHVやPHV、EVといった電動車へのシフトが加速し、燃費向上や走行可能距離伸長のため、車体の軽量化への取り組みが求められている。そのため、車載モーターとコンバータ、インバータとジェネレータを接続するワイヤーハーネスやバスバーなども、銅製のものから、より軽量なアルミニウム合金製への置き換えが急速に進んでいる。

 同板材は、高熱伝導性や高強度といった特性に加えて高導電率をもつ、車載用バスバーに要求される疲労強度や高温強度にも優れたアルミニウム合金製板材。同板材に切り替えることで、既存の銅製のバスバーに比べて約43%の軽量化を実現するとともに、銅製バスバーより安価なことからコスト削減にも寄与する。

 同社は長年培ってきたアルミニウム合金設計技術と加工技術をもとに、顧客の課題を解決するソリューションを提供してカスタマーエクスペリエンスを最大化し、アルミ圧延品事業の拡大を目指していく。