BASF 全農と協業で栽培管理最適化AIサービス開始

, ,

2021年5月10日

 BASFはこのほど、子会社のBASFデジタルファーミング社(ドイツ)が、AIベースの栽培管理最適化デジタルプラットフォーム「ザルビオ フィールドマネージャー」の水稲と大豆を対象にしたサービスを日本で開始すると発表した。すでに16カ国、500万㏊以上の農地で利用され、アジア太平洋地域では最初の上市となる。

 播種から収穫まで、各圃場・ゾーンで作物ごとに包括管理するデジタル・ソリューションで、過去の栽培データや作物の種類、生育モデル、気象データ、緩衝地帯と環境負荷、農薬登録情報、病害リスクや衛星データなど多様なデータをAIで分析し、圃場ごとのリアルタイム情報と推奨作業を提供する。これにより栽培管理計画が立てやすくなり、作業を最適化できる。

 日本の「ザルビオ フィールドマネージャー」には、水管理、種子処理と育苗箱処理、水稲に特化した「バイオマスマップ」、0.5㏊未満の農地でも利用可能な「NAVIマップ」、雑草防除支援機能など、国内のニーズに合わせた機能が含まれる。BASFはJA全農と協力し、国内圃場で水稲と大豆の実証実験を行い、生育ステージ予測と病害発生予測で高い的中率を示すデータを得た。

 すでに一般公開している病害・雑草の画像診断システム「ザルビオ スカウティング」と連携し、病害と雑草を撮影しアップロードすると圃場の病害・雑草をより正確に特定し、適切な対策をとることが可能だ。対象を的確に捉えたタイムリーな農薬散布で、コストと環境影響を低減できる。スマート農業対応の散布ドローン、GPSナビゲーション付きトラクターや圃場センサーなどとの連携も拡大する予定で、精密で効率的、持続可能な作物栽培を実現する。

 JA全農が開発・運用している営農管理システム「Z-GIS」と連携し、両システムのデータを同期し管理できる。両者はこの協業を継続し、圃場の規模や分散にかかわらず幅広い生産者が活用できるよう普及活動を行い、対象作物の拡大も予定している。

 「ザルビオ フィールドマネージャー」には無料プランと、より高度な機能を提供する有料プランがあるが、より多くの生産者に体験してもらうため、7月末まではすべてのサービスを無料で提供する。