日本触媒の3月期 海外子会社の減損が響き営業損失に

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2021年5月12日

 日本触媒は11日、2021年3月期の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年比10%減の2732億円、営業損失159億円(前年比291億円減)、純損失109億円(同220億円減)となった。

 新型コロナ影響による世界景気の減速などを受けて、原料価格や製品海外市況の下落に伴う販売価格低下、販売数量減少で減収となり、また生産・販売数量の減少やスプレッドの縮小に加え、連結子会社NSEやシラスの減損、三洋化成工業との経営統合中止に伴う関連費用の計上などで大幅減益となった。

 セグメント別に見ると、基礎化学品事業は減収減益。アクリル酸系は国産ナフサ価格の下落に伴う原料価格の下落などで販売価格が低下し大きく減益となり、酸化エチレン系はほぼ前年並みだった。スプレッドが縮小し加工費・販管費が増加した。

 機能性化学品事業は減収・営業損失。高吸水性樹脂や電子情報材料などで減益となった。販売数量の減少やスプレッドの縮小に加え、NSEやシラスの減損を計上した。

 環境・触媒事業は減収減益。プロセス・排ガス処理・脱硝用触媒や、リチウム電池材料で減益となった。

 なお、2022年3月期の通期業績予想は、売上収益10%増の3000億円、営業利益130億円(289億円増)、純利益100億円(209億円増)を見込む。売上収益は、原料価格の上昇による販売価格の上昇と、機能性化学品を中心とした販売数量増加を見込み増収。利益面では、前年度に計上した減損や経営統合関連費用がなくなることに加え、販売数量の増加や、在庫評価差額などの加工費の減少などにより増益となる見通し。