JSR エラストマー事業を分割、ENEOSに譲渡

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2021年5月12日

 JSRは11日、子会社として新たに設立する日本合成ゴム分割準備会社にエラストマー事業を吸収分割の方法により承継した上で、承継会社の全株式をENEOSに譲渡すると発表した。譲渡実行日は2022年4月を予定。譲渡金額については1150億円で合意しているが、最終的な価格は譲渡の実行時点の承継会社の運転資本、有利子負債、その他の資産・負債等を考慮し調整を行った上で確定する。

 JSRは、1957年に合成ゴムの国産化を目指した法律により設立(旧社名:日本合成ゴム)。1969年に民間会社へ移行し、合成ゴムからエマルジョンや合成樹脂へと石油化学系事業を展開するとともに、固有の高分子技術を活用して半導体材料・ディスプレイ材料・光学材料などへ業容を拡大し、情報電子材料を核としたファイン事業を推進してきた。

 近年はグローバル市場の成長性が大きく、同社の強みである技術革新力をより発揮できるデジタルソリューション事業とライフサイエンス事業を中長期的な成長事業として位置づけている。

 エラストマー事業については、合成ゴムの国内ナンバーワン企業として、S-SBRをはじめとする高付加価値分野を中心に、高い技術力をもち、国際的な信頼を獲得しているが、グローバル競争も激化するなど事業環境は厳しさを増している状況にある。こうした中、収益改善策と事業構造改革に取り組みつつ、戦略的アプローチの見直しを進めてきた結果、エラストマー事業が今後も成長し続けるためには、事業体制の抜本的な変革が必要であるとの結論に至った。

 こうした状況を踏まえ、石化製品の製造・販売を高い技術力とより大きな事業規模でグローバルに展開し、高付加価値製品のラインアップ強化に積極的に取り組むENEOSに対象事業を譲渡することが、エラストマー事業の持続的な発展のために最適であると判断した。