三井化学 高ガス透過素材にシール性付与し市場開発へ

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2021年5月26日

 三井化学は25日、新素材フィルム「ヒートシーラブル高ガス透過フィルム」(開発品)の市場開発を開始したと発表した。同フィルムは、特定のガスを選択的に高く透過する性能に加え、他の樹脂製フィルムと比較して低温でヒートシール性を発現する特長も併せもつ。

開発品と各フィルムとのガス透過係数比較
開発品と各フィルムとのガス透過係数比較

 同社のデータによれば、ポリエチレン製のフィルムと比較して、ガス透過係数は二酸化炭素で約4倍、酸素で約5倍、ヒートシール性能は120℃で約2倍の強度を示している。これまでにも選択的に特定のガスを高く透過するフィルムはあったものの、ヒートシールが困難なことから用途が限られるという課題があった。「ヒートシーラブル高ガス透過フィルム」は、それらの課題を解決し、パッケージ加工が容易になったことで、用途拡大が期待されている。

ヒートシール性能の温度依存性比較

 三井化学では、液体や菌などは通さずに気体のみを透過する特性から、細胞培養キットの保護用途、医療用器具のパッケージ、特定ガスの分離膜といった産業分野などの用途を想定している。