NEDO 光ICとLSIを一体集積、光配線技術を開発

, , ,

2021年7月7日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)が、通信波長帯の光信号を低損失で伝送できる光IC・光ファイバー間の3次元光配線技術を世界で初めて開発したと発表した。

3次元光配線技術の概念図
3次元光配線技術の概念図

 AIやIoTなどの急速な普及によって、データセンターや高性能コンピューティングの消費電力が増大する中、省電力化などを可能にする光配線化に向けた開発が加速し、近年は光伝送の高速大容量化のニーズが高まっている。

 LSI(大規模集積回路)とシリコンフォトニクスによる光ICを統合したコパッケージが注目されているが、複数のモジュール型の光ICをLSIから離れた基板端面に電気配線で接続する方式では、LSIと光IC間の電気配線が長いことで消費電力が増大し発熱が増える。そのため、限界だといわれる毎秒51.2テラビット処理において低消費電力化とさらなる高速処理のための新技術が求められていた。

 こうした中、NEDOが進める「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」において、PETRAは、光ICと光ファイバーを光接続する高精度光実装技術の開発に注力。今回、通信波長帯の光信号を低損失で伝送できる光IC・光ファイバー間の3次元光配線技術の開発に世界で初めて成功した。

 試作サンプルでは、次世代標準である毎秒112ギガビットの光信号を80℃超の高温環境下で伝送し、有用性を実証している。3次元光配線技術を活用することでLSIから光ICまでの電気配線の距離を極限まで縮めた一体集積ができるため、先行技術と比較して30~40%の大幅な電力量削減が期待される。