ポリオレフィン 値上げ交渉本格化、原料高に対応

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2021年7月9日

昨秋から4回目の価格改定、ナフサには先高観も

 ポリオレフィンであるポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)メーカー各社による原燃料高やコスト高に対応した値上げが出揃い、今月中の実施に向けユーザーとの交渉が本格化している。改定幅は、PEではプライムポリマー、住友化学が「10円/kg以上」、東ソーが「12円/kg以上」、日本ポリエチレン、旭化成、宇部丸善ポリエチレンが「15円/kg以上」。一方、PPでは、プライムポリマー、住友化学が「10円/kg以上」、日本ポリプロ、サンアロマーが「15円/kg以上」で打ち出した。昨年10月から数えると、わずか10カ月の間に4回の値上げとなっており、近年稀に見る事態となっている。

 その要因として、ポリオレフィンの主原料である国産ナフサ価格の急騰が挙げられる。昨年後半以降、コロナ禍から世界経済が立ち直ってきたことで原油価格に連動しスポット・ナフサ価格が上昇傾向となった。国産ナフサ価格の上昇が見込まれたことから、ポリオレフィン各社は昨年9~10月にかけて値上げを発表。さらに年末にかけて、OPECプラスの協調減産により原油相場が上昇しスポット・ナフサ価格が騰勢を強めたため、各社は1月に2回目、3月に3回目と立て続けに値上げを打ち出した。

 その後、原油・ナフサ価格は落ち着きを見せたものの、コロナワクチン普及による原油需要の回復への期待が高まり、再び原油・ナフサ価格が急騰。これを受け、ポリオレフィン各社は昨秋以降、四回目となる値上げを6~7月にかけて発表している状況だ。

 交渉については、ナフサリンクなど価格フォーミュラーへのシフトが進んでいることに加え、コロナ禍で落ち込んでいたポリオレフィンの内需がほぼ戻ってきていることもあり、顧客から値上げに対する理解を得られているもよう。とはいえ、メーカーサイドにとって、原料価格の上昇と価格改定の〝期ズレ〟を最小限に食い止めることが最大の課題。足元のスポット・ナフサ価格は700ドル台に到達するなど先高観も出てきており、値上げ交渉の決着が遅れることで、収益を大きく圧迫することが懸念される。そのため、ポリオレフィン各社は、関係ユーザーとの早期決着を目指し、7月中の値上げ実施に向けて価格交渉は一段と本格化する見通しだ。