ENEOSと三菱ケミカル 廃プラ油化で鹿島にCR設備建設

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2021年7月21日

 ENEOSと三菱ケミカル(MCC)は20日、MCC茨城事業所(茨城県神栖市)を拠点にプラスチック油化共同事業を開始することを決定し、同事業所内に商業ベースでは国内最大規模となる年間2万tの処理能力を備えたケミカルリサイクル(CR)設備を建設すると発表した。2023年度からの廃プラスチック油化開始を目指す。

プラスチックリサイクルのフロー。両社は2023年度からの廃プラ油化開始を目指す
プラスチックリサイクルのフロー。両社は2023年度からの廃プラ油化開始を目指す

  具体的には、外部から調達した廃プラを、英ミュラ・テクノロジー社の超臨界水技術を導入する新設備で化学的に液化し、油化処理を行う。製造した油(リサイクル生成油)は、ENEOSとMCCの既存設備である石油精製装置とナフサクラッカーの原料として使用し、石油製品や各種プラスチックへと再製品化することで、高効率なCRの循環を実現していく考えだ。

 ENEOSとMCCは、2019年に折半出資による鹿島コンプレックス有限責任事業組合を設立し、茨城県鹿島地区の石油精製と石油化学事業のさらなる連携強化の検討を行っている。その一環として、世界的課題となっている廃プラ問題を踏まえた上で、プラスチック製造のサプライチェーンに関わる事業者として循環型社会形成に貢献することをテーマの1つに据え、CRの技術検討を進めてきた。

 両社は今後、原料廃プラの安定調達をはじめ、プラ製品へのCR品認証や石油製品への温室効果ガス削減の認証といったサーキュラーエコノミー関連の認証取得などによる製品の高付加価値化を進め、次世代事業としてさらなる技術的知見の習得を図る。循環型社会の形成につながる今回の共同事業を通じ、持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「つくる責任使う責任」の達成に確実に貢献していく。