クレハ 中国でPVDF製造設備、第1期に1万t増強

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2021年7月26日

 クレハはこのほど、子会社の呉羽(常熟)フッ素材料(中国江蘇省常熟市)において、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)の製造設備を増強することを決定したと発表した。増強規模は、第一期として年産約1万tで、同拠点の既存設備(5000t)と合わせて増強後の生産能力は1万5000tに拡大する。なお完工は2024年春ごろで、稼働時期は同年の夏ごろになる予定だ。

 PVDFはLiB用バインダーや一般産業用エンジニアリングプラスチックとして使用されている。近年では各国の環境政策への対応からEV、HEV、PHEVなど、車載用LiB向けに需要が急拡大している。現在、同社グループでは、いわき事業所に年産約6000t、当該子会社に年産約5000tの製造設備を保有しているが、顧客からのさらなる供給能力の拡大が要請され、同社は対応を検討してきた。こうした中、中国子会社が立地する産業園区内において蘇州市より設備増強プロジェクト(年産1万5000t)の批准を受けたことで、今回、投資の決定に至った。

 同社は中期経営計画の重点施策のひとつに「PVDF事業の収益拡大」を掲げている。今回の設備増強は、2022年1月に完成予定のいわき事業所PVDF設備の増強工事(年産2000t)に続くものとなる。同社は今後も、年々高まるLiB市場の旺盛な需要に対応するため、市場の伸長に合わせ段階的に生産体制を強化し、着実に事業の拡大を図っていく考えだ。