資生堂 赤外線が肌に悪影響を与えるメカニズムを解明

, ,

2021年9月10日

 資生堂はこのほど、赤外線の影響を正確に評価する実験手法を確立し、赤外線が肌に悪影響を与えるメカニズムの一端を解明したと発表した。同社は、紫外線による肌の酸化ストレスが光老化の原因の1つであることや、太陽光強度のブルーライトが肌にダメージを与えることを見出だしてきたが、今回、赤外線による影響を確認した。

太陽光中の赤外線
太陽光中の赤外線

 赤外線は可視光より波長が長く、物体を温める作用をもち、天気の良い日に屋外で太陽に当たると、体表温度は数分で約40℃にまで達する。熱作用の影響を排除して光の影響を正しく評価するために、温度上昇をコントロールし光と熱の影響を切り分けて確認できる、独自の実験手法を確立した。

3つのタイプの光酸化 (イメージ図)
3つのタイプの光酸化 (イメージ図)

 線維芽細胞へ赤外線を照射した結果、赤外線の「光」ではなく赤外線によって生じる「熱」によって、シミや赤み、シワなどへの関与が示唆される血管内皮増殖因子(VEGF-A)が増加した。また、肌トラブルの原因となる皮膚中の過酸化脂質も赤外線による「熱」によって増加したことから、日常的に浴びうる赤外線によって生じる「熱」が、肌に悪影響を与えることが分った。

 健やかで美しい肌を保つには、紫外線酸化、ブルーライト酸化、赤外線酸化(熱酸化)の3種類の光酸化へ対応が重要だ。今回併せて、赤外線の熱による肌内部のVEGF-Aと過酸化脂質の産生を抑制する植物由来エキスも特定でき、赤外線の熱による肌ダメージを防ぐ可能性があるとしている。