ダイセルなど マイクロ流体デバイスプラントを共同研究

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2021年11月1日

 ダイセルと台湾の精華大学(NTHU)はこのほど、「ダイセル・国立清華大学リサーチセンター」を同大学内に設立し、「マイクロ流体デバイスプラント」に関する共同研究開発を開始したと発表した。

マイクロ流体デバイスプラント 実験装置イメージ

 ダイセルはこれまで、生産革新、プロセス革新を通じて省エネルギー化を実現してきたが、循環型社会の構築、カーボンニュートラル(CN)の実現に向けたさらなる取り組みとして、究極の生産効率を追求した「マイクロ流体デバイスプラント」を社会実装するために必要な生産技術および量産化技術に関して、NTHU と共同で研究開発を進める。

 NTHUはナノテクノロジー関連の研究において台湾トップクラスの大学として知られ、台湾新竹サイエンスパークに隣接している。TSMCなどの台湾企業との産学連携にも積極的に取り組んでおり、今回のリサーチセンター設立はNTHUにおいて9番目、日本企業との産学連携では初の案件となる。

 キャンパス内に国際産学連携研究開発拠点として設立したリサーチセンターにおいて、マイクロ流体デバイス技術を化学品生産プロセスに応用した「マイクロ流体デバイスプラント」の社会実装の早期実現を目指す。

 マイクロ流体デバイスは、基板(チップ)上に数百㎛の流路を設け、流路内で混合、反応、精製などの化学操作をマイクロスケールで行うための装置で、主に研究領域で用いられている。ダイセルは昨年4月から東京大学社会連携講座で研究開発に取り組んでいる。

 一方、マイクロ流体デバイスプラントは、マイクロ流体デバイスを1万枚以上超並列化することにより、研究領域で確立された製法のまま、年間数十t以上の大量生産が可能。同時に、省スペース・省エネルギー・省資源かつ必要なものを必要な量だけ生産できるプラントでもあり、その社会実装の実現は、ダイセルのみならず産業界全体が目指しているサステナブルな次世代生産プラントの実現にもつながる。

 両者は今後、グローバルにさらなる産官学連携を広げ、サステナブルな社会の構築、カーボンニュートラルの実現に貢献していく。