【カーボンニュートラル特集】化学産業 カーボンニュートラル実現を成長の機会に

2021年11月12日

次世代エネとリサイクルがテーマ、社会実装が課題

 世界的に脱炭素化の流れが加速している。英国で開催中のCOP26では各国がGHG排出目標を引き上げるとともに、石炭火力の段階的な廃止も明記された。石炭火力に頼る日本は賛同しなかったが、今後、国内外から批判が高まる可能性があり、対応を図る必要があるだろう。

 わが国化学産業は、昨年10月の「2050年カーボンニュートラル(CN)宣言」を機に、各社がCNに真剣に取り組み始めた。いかにこの変革期を新たな成長の機会として捉え、CNに貢献する技術や事業を展開できるかが問われている。

 一方、CN実現にはイノベーションの創出が必要不可欠となる。化石燃料から水素やアンモニアといった次世代エネルギーへの転換や、廃プラスチックを原料に戻すケミカルリサイクルも循環型経済の構築への新たな技術として注目されている。

 各社は、個社単独だけでなく業界の垣根を超えたアライアンスを進め、様々な可能性を追求している。ただ、社会実装にはコストの低下が求められる。量産化によるコストダウンに加え、コスト負担の在り方も考えていかなければならない。

 今回の異業種特集では、CN実現に向けた、政府の方針、注目される大手企業の動向や技術開発などについて取材した。

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◇インタビュー◇

経済産業省製造産業局素材産業課長 吉村一元氏
▽重要分野の実行計画を策定、基金造成し革新技術の開発支援

三菱ケミカルサーキュラーエコノミー推進本部長 馬渡謙一郎氏
▽GHG削減目標は実効性重視、社内横断的取り組みを推進

三井化学理事・ESG推進室長 右田 健氏
▽サーキュラー型ビジネスモデルを確立、チェーン全体で進める

BASFジャパン経営推進本部 入江 剛氏
▽省エネ・再エネ・リサイクルで、資源消費型成長から脱却

出光興産技術・CNX戦略部 大沼安志氏/片桐絢也氏
▽炭素循環社会に向けて、事業ポートフォリオを大幅転換

マイクロ波化学代表取締役社長 吉野 巌氏
▽マイクロ波により、化学産業の製造プロセスに革新を起こす

リファインバース常務取締役 加志村竜彦氏
▽廃棄処理困難物を技術力で再生、廃プラ回収でCRにも貢献

アールプラスジャパン 代表取締役社長 横井恒彦氏
▽バリューチェーン一体で廃プラCR支援、27年商業化目指す